PSIM Suiteは、ドコモが2014年に発表した技術だ。端末側でSIMカードの抜き差しをすることなく電話番号の切り替えができるポータブルSIMの技術に加え、端末側に「psim proxy」を挿入するとポータブルSIMと接続できる技術を含むライセンスとなる。
このライセンスを活用した初めてのデバイスが「SIM CHANGER デルタ」だ。SIMカードを最大4枚装着すれば、スマートフォン上のアプリから最大4枚のSIM情報を自由に切り替えて利用できる。対応SIMはnano SIM×2枚、micro SIMが2枚だ。3400mAhのバッテリを内蔵しており、駆動時間は約30日。
SIM CHANGER デルタでは、端末側のスロットにSIMカードサイズの「ブリッジカード」(3000円程度)と呼ばれるBluetoothデバイスを入れておく必要がある。iOSとAndroidなど複数のスマートフォンで使いたい場合は複数枚のブリッジカードが必要になる。
スマートフォンとSIM CHANGER デルタ間はBlueoothで通信を行う。Bluetoothの接続が切れた場合、スマートフォン側で通信はできない。もし、うっかりSIM CHANGER デルタを家に忘れてきたり、通信が届かない場所にあったりすると「SIMカードなし」と認識される。また、複数回線の同時待受はできず、選択中の1回線のみとなる。
対応バンドは、スマートフォン側に依存する。SIM CHANGER デルタはスマートフォン本体からブリッジカードへのSIM情報問い合わせに対し、Bluetooth経由でSIM CHANGER デルタが応えることで通信を実現する仕様だ。
対応端末は、iPhone 6以上、AndroidはXperiaやGalaxy、ARROWS、AQUOSなどの一部端末となっている。詳細はウェブサイトに記載されている。
なお、ブリッジカードはiOS用とAndroid用の2種類があり、互換性はない。クラウドファンディングでは、申し込む際にどちらかを選べるようになっている。
Cerevoはニッチな製品を得意とする企業だ。「1つの国で100台しか売れなくても、世界100カ国で売ることができれば1万台売れる商品になる」として、現在53カ国でさまざまな製品を販売している。
今回の製品を生み出した背景について、Cerevo 代表取締役の岩佐琢磨氏は、「クルマのコンセプトカーのように“参考展示品”として、アグレッシブな姿や性能を持つ製品が発表されるが、実際には尖ったものを丸めることなく出てくることはなかなかない。それにはさまざまな事情があるが、小さくて俊敏に動ける(Celevoのような)会社と手を組むことで、どんどん製品化されている世の中を目指したい」と語った。
SIM CHANGER デルタは4枚のSIMカードを切り換えられるが、できるだけ多くのSIMを使えるようにしたかったこと、バッテリとの兼ね合いを見て設定したという。クラウドファンディングによって意見を募り、要望を今後の製品に反映していきたいとした。
「かなりぶっ飛んだ仕様にした。飛んだ会社はこれぐらいしないとおもしろくないのではないか。ドコモとの打ち合わせで“何を言っているんだ”という目が忘れられない」(岩佐氏)
NTTドコモ 移動機開発部 部長の徳弘徳人氏が登壇し、「ドコモだけで商品化しようとしてもこのようないい製品はできなかったと思う。今回のクラウドファンディングを成功させたい」と語った。
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