中国電子産業の中心地である深センに本社を構えるHuawei(ファーウェイ)は、長らくグローバルなブランドを目指してきた。この数年は安価なスマートフォンメーカーという初期のイメージを払拭しようと懸命に取り組んでいる。
同社の設立当初の事業は通信機器の提供やWi-Fiドングルの製造で、のちに安価な端末でスマートフォン市場に参入した。だが近年は、デュアルカメラを搭載した「HUAWEI P9」や、Googleと共同で開発した「Nexus 6P」など、高級な旗艦デバイスによって存在感を強めようとしている。
その戦略は大きな成功を収めており、出荷台数でXiaomi(シャオミ)やLenovoといった競合を押さえて中国で1位となったほか、世界で3位に入ったとIDC Researchの2016年のレポートが伝えている。
「消費者には、価格だけでなく、製品そのものに魅力を感じてもらいたい。当社は極めて堅調であり、月にロケットを飛ばすようなことはないだろうが、製品の改良に力を入れている」。ファーウェイのグローバルプロダクトマーケティング担当バイスプレジデントを務めるClement Wong氏は、同社が高級機分野へと舵を切ったことについて、こう語っている。
ファーウェイは確かに、競争の激しい市場で差別化を図るべく前進してきた。たとえば、前述のHUAWEI P9では、ドイツの高級カメラブランドとして名高いLeicaと提携している。ファーウェイはLeicaのブランド名をライセンス料で買っているだけ、との批判を受け(両社ともこれを否定する声明を発表している)、その対処を迫られたほか、ソーシャルマーケティングの失敗を挽回しなければならなかったが、その結果は明白だ。デュアルカメラを搭載したHUAWEI P9は、米CNETがこれまでに見てきたスマートフォンのなかでも最高水準の写真を撮影できる。
「ファーウェイ復活の鍵の1つになったのは、中国の消費者の意識が大きく変わったことだ。同社のスマートフォンはもはや、安価でぱっとしないローエンド製品ではなく、ハイエンド機種と見なされるようになっている」。IDCのBryan Ma氏はこのように述べた。
ファーウェイは膨大な数の従業員を雇用している。全世界で17万6000人を超え、そのうち4万人は世界各国の外国人従業員だ。また、研究開発センターに約64億ドルという多額の現金を投じている(ただし、その多くは通信事業が対象)。
こうした国際的な投資が功を奏しているようで、同社は欧州に第2の地盤を固めた。IDCのMa氏によると、ファーウェイの出荷は大半が中国向けで約60%を占めるが、次に大きい市場はEMEA(欧州、中東、アフリカ)であり、同社スマートフォンの20%が出荷されているという。
ファーウェイは現在、スペインでおよそ18%、フィンランドで19%の市場シェアを占めており、成長著しいアジア太平洋市場を次の戦場として見定めている。
ファーウェイのコンシューマーグループ担当バイスプレジデントであるColin Giles氏は、「アジア太平洋地域は当社の成功にとって不可欠であり、今後の成長が期待される主な市場はインドネシア、ベトナム、タイ、フィリピンだ」と語る。「当社はミャンマーでも健闘している」(Giles氏)
NokiaとMotorolaの元幹部が米CNETに語ったところによると、ファーウェイは東南アジアのほかにインドも市場として注目しているという。中国の企業にとって、インドは本国に次いで大きい市場であるため、それは当然のことだろう。しかもファーウェイは、世界シェアで現在1位のサムスンや、インドの最大手Micromaxとも競う意欲を見せている。
ファーウェイにとって残念なのは、米国の攻略が依然として難しいことだ。米国政府との関係は良好とは言いがたい。米下院委員会は2012年、中国の通信業界における同社の背後事情を理由に、米国企業に対して同社製品を購入しないよう勧告した。それでも、ファーウェイはこの問題を乗り越え、キャリア各社との関係を利用して端末を流通させられるという自信を示している。あるいは、回線契約なしでスマートフォンを販売することも辞さない構えだ。「使ってみれば良さがわかる」ということを、米国の消費者ができるだけ簡単に理解できるようにしたいと考えている。
ファーウェイは、シャオミなどの人気商品を押しのけながら、世界制覇という新しい道を歩み続けている。次に重要となるのは、600億ドルのスタートアップ企業としてではなく、設立から30年近くを経てようやく適所を見いだしたらしい通信機器メーカーとしての立場だろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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