問題解決のために、今までにない考え方をしようと思っても、そこには、思考を邪魔する要因がある。たとえば「自分は専門家で、誰にも負けない知識がある」という思い込み。あるいは、「普通はこうだろう」という枠に捕らわれた考え方。本書は、自分ではなかなか気付きにくい、思考を邪魔する要因を、リスト化して指摘してくれる。言いにくいことも指摘してくれる、頼もしい先輩のような存在だ。
本書では「問題を定義(発見)し、ぐるぐると遠回りしながら解決のためのアイデアをひたすら考え、それを実行に移し、フィードバックを得て、またひたすら考える。この「考える工程」を「クリエイティブ思考」と定義している。「クリエイティブ思考」が、決して、いわゆる「クリエイティブ」な仕事をしている人たちだけのものではなく、誰にでも関係あることが、この定義からも読み取れる。どのような仕事をしていようと、「どうすればいいか」をひたすら考えて実行し、失敗したらまた考えて実行する、という過程を積み重ねていくはずだからだ。
しかし、その思考の過程を邪魔する要因の多いことよ。「邪魔リスト」として15項目が挙げられているが、この項目を読むだけでも、「あ!」とかせが外れて、今までの枠から飛び出して考えられるかもしれない。それほどに、自分でも気付かない間に思考を停止させられてしまっている項目ばかりなのだ。自分のやっていることは「クリエイティブ思考」だとは意識していなくても、問題解決に行き詰まっていたり、どうもいつも同じ考え方をしてしまうという人なら、良いヒントが得られるだろう。
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