シャープ、商業施設などに設置できるソーラー充電スタンド「LN-CA2A」を発売

 シャープは、観光地や公共エリア、商業施設などに設置が可能なソーラー充電スタンド「LN-CA2A」を8月25日に発売する。

 上部に取り付けられた太陽光パネルが発電する電気によって、携帯電話やスマートフォンなどを手軽に充電できるもので、観光客や施設利用者の充電ニーズに対応することが可能になるという。


シャープのソーラー充電スタンド「LN-CA2A」

 同社では、2015年7月に、公益財団法人東京都環境公社が東京都と連携して実施している「シティチャージ」設置事業において、事業者に選定され、10月から東京タワー、虎ノ門ヒルズ、としまえんに、同社のソーラー充電スタンドが設置している。

 今回の製品は、これらの経験をもとに、さらにデザインを一新し、BLACKSOLARの搭載などにより機能面でも強化を図り、今後、広く販売を行っていくものになる。神奈川県横浜市のパシフィコ横浜で開催された太陽光発電に関する総合イベント「PV Japan 2016」のシャープブースに実際の製品が展示され、来場者の関心を集めていた。


ソーラー充電スタンドに使われているBLACKSOLAR

 ソーラー充電スタンドは、商用電源不要の独立型システムとなっており、同社の太陽電池モジュール「BLACKSOLAR」(公称最大出力184W以上)を2枚搭載。これによって発電した電気を、携帯電話やスマートフォンの充電に利用できる。充電部には、Android端末やiPhone、フィーチャーフォンまで、幅広く対応した5種類の充電端子を用意。同時に4台までの充電が可能になっており、1人15分間の充電で、1日あたり60台分の充電が可能になるという。


5種類の充電端子を用意している

実際に充電をしている様子

 また、蓄電池の搭載により、日照量の少ない日や夜間でも充電が可能であるほか、日没後は、LED照明が自動で点灯するため、夜間でも安心して利用できる環境を実現している。蓄電池容量は、12V-38Ahを2台搭載。照明 LED照明は、最長で14時間の点灯が可能だという。

 高さは、約4m。希望小売価格は、250万円(税別)。

 今後、ショッピングモールなどの商業施設や商店街、エンターテイメント系施設、観光地など、太陽光発電が可能で人が集まる施設や名所などへの提案活動のほか、自治体や交通機関、一般企業などにも提案活動を行っていくことで、年間1000台の販売を目指すという。さらに、海外展開も視野に入れていきたいとしている。

 「近年増加している外国人観光客への“おもてなし” として、また、国内外の観光客誘致、環境への先進的な取り組みのシンボルとしても活用できる。また、ショッピングの合間に充電サービスを利用することで、満足度向上にも貢献。地域の防災拠点に設置することで停電時の充電ニーズへの対応も可能になる」としている。

 なお、ソーラー充電スタンドの設置には、基礎工事が必要であること、建物の屋上、山稜、橋梁、沿岸部および塩害が発生する地域などには設置できない。


夜間はLED照明で照らすことができる

 シャープ エネルギーソリューションカンパニーソーラーシステム事業部・桃井恒浩事業部長は、「今回のソーラー充電スタンドを皮切りに、太陽光パネルや蓄電池などのエネルギー機器を活用した新たな製品を創出していく。太陽光発電は災害時にも威力を発揮するために、その点からの提案も行いたい。また、太陽光パネル単体だけでなく、液晶ディスプレイとの組み合わせ提案などによって、新たな用途への活用が広がる。シャープが持つさまざまな技術や製品との組み合わせによって、応用範囲が広がると考えている」と述べた。


シャープ エネルギーソリューションカンパニーソーラーシステム事業部・桃井恒浩事業部長

 一方、シャープ エネルギーリソューションカンパニーの佐々岡浩社長は、先頃開催された「PV Japan 2016」のシャープブースにおいて、ビデオメッセージを通じて、シャープの経営再編に関わり、心配をかけたことに対して陳謝。さらに、今後のエネルギーソリューション事業の方向性などについて語った。

 佐々岡カンパニー社長は、「シャープの商品をご愛用いただいているお客様、販売していただいている取引先にはご心配をおかけした。深くお詫び申し上げる」としたあと、「シャープは、鴻海との戦略的提携後の新体制においても、シャープブランドを継続し、太陽光発電をベースに様々なエネルギーソリューションの提供に取り組む。加えて確かな品質の確保と、いままで以上のアフターサービス体制の確保に努めていくことを約束する」と発言した。

 また、「昨年度は固定価格買い取り制度のレートの見直しや出力抑制などによる消費マインドの落ち込みから需要が冷え込んだ厳しい1年になった。一方で、昨年末のCOP21で採択されたパリ協定では、再生可能エネルギーや省エネ、蓄エネ技術によるエネルギーソリューション市場が世界規模で拡大すると期待されている。国内では4月に開始された電力小売自由化、セロエネルギーハウスやゼロエネルギービルディスングの導入促進策と、新たな成長のチャンスが到来している。太陽光発電や蓄電池、HEMSに加えて、省エネ家電やIoT技術などによる総合家電メーカーの強みを最大限に生かし、このチャンスにいち早く対応していく」と述べた。


「PV Japan 2016」のシャープブースにおいて、ビデオメッセージを送ったシャープ エネルギーリソューションカンパニーの佐々岡浩社長

 さらに、「今後の取り組みとして、クラウド蓄電池やDCハイブリッドエアコン、停電モード付き冷蔵庫などの蓄電池連携家電、高出力のブラックソーラーなど、さまざまな新製品を投入し、お得で、快適な生活を実現する当社独自のゼロエネルギーハウスを提供していく。このたび、独自の化合物3接合技術により、太陽電池モジュールで世界最高となる変換効率31.17%を達成した。将来的には自動車への搭載などいろいろな用途が期待されている。このような未来を見据えた技術開発も手を緩めることなく進める。これからもシャープは人類にとって必要なエネルギーを自然環境に優しく創出し、賢く利用することで、より豊かな生活を創造し、地球レベルで社会に貢献していく」と語った。

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