ソニーは7月29日、2017年3月期第1四半期(4〜6月)の連結決算を発表した。「PlayStation 4」のソフトウェア販売が好調に推移したものの、スマートフォンの販売台数減や半導体、イメージング・プロダクツ&ソリューション分野の損益が悪化し、売上高は前年同期比10.8%減の1兆6132億円、営業利益は同42%減の562億円となった。
販売台数の減少が大きく響いたモバイル・コミュニケーション分野では、売上高が同33.7%減の1859億円となったが、営業損益は229億円の赤字から、4億円の黒字に転じた。233億円の損益改善は、費用削減と、高付加価値モデルへの集中による製品ミックスの変更が影響しているという。ただし、スマートフォンの販売台数は前年同期比の720万台から310万台へと減少しており、年間見通しも5月時点の2000万台から1900万台へと修正している。
好調さを継続するゲーム&ネットワークサービス分野は、売上高が同14.5%増の3304億円、営業利益は同2.2倍の440億円となった。ソフトウェアの増収に加え、PS4ハードのコスト削減などから、分野全体で大幅な増収増益に結びついた。
ホームエンタテインメント&サウンド分野は、売上高が同6.8%減の2359億円となったものの、コスト削減や高付加価値モデルへのシフトにより、営業利益は1.8倍の202億円と増益を達成。液晶テレビの販売台数も前年同期の260万台から270万台に増加しており、通期の営業利益見通しを50億円上方修正し、410億円とした。
熊本地震の影響を受け、部品の調達などが困難となったイメージング・プロダクツ&ソリューション分野は、売上高が同25.8%減の1222億円、営業利益が同57.7%減の75億円となった。同様に、イメージセンサやカメラモジュールなどを主要製品とする半導体分野においても、売上高は22.9%減の1444億円。営業損益は同327億円の黒字から435億円の赤字へと転落。熊本地震の影響による生産減とモバイル機器向けの需要減、さらに為替の影響により大幅な減収となった。
被災した熊本テックは「前倒しで復旧が進んでおり、地震によるマイナスの影響額は縮小できる見通し」とソニー代表執行役副社長 兼 CFOの吉田憲一郎氏はコメントした。
ソニーでは、7月28日に電池事業を村田製作所へと譲渡することを発表。リチウムイオン電池を商品化するなど、先進的な開発を続けてきたにもかかわらず、事業を手放す決断をした理由について質問が飛ぶと吉田氏は「ここ数年は大きな赤字が続いており、売上構成比の高いスマートフォン向けバッテリで有力な顧客を得られなかったのが大きな理由の1つ。今まで培ってきた技術、人材をいかすことを考えると、日本で有数の有力企業である村田製作所に譲渡することで、シナジーを生かしていけると考えている」とした。
また、6月に開催した経営方針説明会で代表執行役社長兼CEOの平井一夫氏がロボット再参入についてコメントしたことについては「継続的に収益を上げるサービスモデルにしていくことが重要だと思っている」とリカーリングビジネスを視野に入れていることを示した。
今回の業績を受け、ソニーでは2017年3月期通期の連結業績予想を、売上高で前年比8.7%減の7兆4000億円、営業利益で2%増の3000億円、税引き前当期純利益で同11.3%減の2700億円へと修正している。
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