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フリーロームVRのリーダーシップを取る--豪ゼロ・レイテンシーCEOが抱く野望

佐藤和也 (編集部)2016年07月27日 09時00分
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 セガ・ライブクリエイションが運営する屋内型テーマパーク「東京ジョイポリス」で、7月23日から新たに導入された「ZERO LATENCY VR」。ヘッドマウントディスプレイ(HMD)型のVRデバイスを装着しつつ、ケーブルレスで自由に移動することができるフリーロームかつ、最大6人による同時プレイを実現したVRアトラクションだ。

 このシステムを開発したのはオーストラリアに拠点を置くベンチャー企業のゼロ・レイテンシー。フリーロームかつ6人同時プレイのVRトラクションは、現在のところ世界初とうたい、メルボルンではベータ版での営業を1年ほど実施。予約が困難な状況にもなるほど人気を集めているという。正式サービス版としての導入は、東京ジョイポリスが初めてという。

 日本でのオープンにあわせて、開発スタッフが来日。同社のCEOを務めるティム・ルーズ氏に、ZERO LATENCY VRの開発や東京ジョイポリスでの展開の経緯、今後の展望について聞いた。

ゼロ・レイテンシー CEOのティム・ルーズ氏
ゼロ・レイテンシー CEOのティム・ルーズ氏

多人数同時プレイの可能性は「少なくとも16人がMAXではない」

--なぜフリーロームかつ多人数同時プレイのVRシステムを開発しようと思ったのか、その経緯を教えてください。

 だいたい4年ぐらい前に、CTOにあたる共同創業者の1人と食事をしているときにアイデアを聞かされて、それが実現できれば世の中にインパクトが与えられるほどの没入感のあるシステムになると直感したことがきっかけですね。

 当時VRはまだまだ発展する前の状態でしたが、これから広まって伸びていくジャンルだということは見えていました。VRシーンの一歩先行く革新的かつ差別化しやすい体験を提供できるシステムがあれば、チャンスが生まれると考えました。 

--開発を振り返って、特に苦労したところはどこでしょうか。

 全てと言いますか、フリーロームとしてトラッキングを精度高く行い、ハイフレームレートで反映させていくというのはとても難しい技術です。最初の2年間はとにかく研究に費やして、ようやく1人の方に楽しんでいただけるようになりました。そこまでが長かったですね。逆にそこから人数を増やしていく段階では、決して簡単ではなかったのですけど、早く進められました。

--技術的に、今の段階で多人数同時プレイは最大何人まで増やすことができるのでしょうか。

 今メルボルンで最大16人の同時プレイをテスト運営しています。それ以上については「少なくとも16人がMAXではない」というお答えになります。広いスペースを用意できれば、まだ増やせる余地はあります。

 また離れた場所にいる多人数同士がインターネットを通じて、1つのVR空間でPvP(Player versus Player:プレーヤーキャラクター同士の対戦)を行うこともできます。海外との対戦は難しいですが、例えば東京対大阪ぐらいの距離感であれば十分可能だと考えています。

--フリーロームかつ多人数プレイを実現しているキーポイントはなんでしょうか。

 一言で言うならば「ハイレベルな伝送スピード」になるかと思います。具体的な個数は言えませんが、トラッキングには80以上のセンサを活用しています。センサからサーバに伝え、さらに各プレーヤーに反映させていくという伝送スピードの早さがこのシステムを実現しています。研究開発の積み重ねによって設計した独自のソフトウェアに支えられ、ハードウェアまわりも最先端の機器を投入しています。もちろん毎日フルタイムで稼働させるわけですから、それに耐えうる耐久性も兼ね備えています。

--ベンチャー企業だと資金調達にも苦労する部分があるかと思います。

 そうですね、初期段階ではポケットマネーで開発を進めてました。そのあとにベンチャーキャピタルとの取引をはじめ、機材購入や人材集めを行いプロトタイプまでこぎ着けました。

--2014年に「Pozible」というクラウドファンディングサイトを通じて、3万オーストラリアドルを調達したとあります。

 期待の表れですごくありがたかったです。クラウドファンディングは、プロモーションという意味ですごく有効だったと考えていますし、ユーザーのみなさんがこれだけ興味があるということを実証できたことも大きいです。

 ですが、結局は調達した資金だけでは足りずにさらなる自己資金を投入しました。自分のメンターの1人が「想定しているよりも2倍のお金と時間が必ずかかるから覚悟しておいたほうがいい」というアドバイスを受けたんです。実際その通りになりましたね(笑)。ここまで時間もお金もかかって大変だとは思っていなかったですけど、体験した人たちの驚きとポジティブな反応を見るにつれ、やっていることに間違いはないと。もっと良くしようというパッションに突き動かされ、ここまできました。

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