独立2年目のVAIO、営業利益の黒字化を達成--社員の意識改革、V字回復できた背景とは - (page 2)

社員全員が数字に意識を持てば「自然と効率化できる」

 具体的にどのようにしてV字回復させたのだろうか。まず大田氏が手がけたのは営業部の設立だった。これまで販売はソニーマーケティングが行ってきたが、「販売まで自分でやらなければいけない」という考えがあった。

 営業部の設立により、「製品企画から設計、製造、品質保証、マーケティング、営業、修理・サポートまで一貫した会社機能を備えた企業になった。240人という小規模ながら、十分な機能を備えた会社」と説明する。

 さらに、設計、製造、品証を行う「商品ユニット制」に、売上げ責任と設計の技術者を「技術営業部隊」として営業現場に加え、さらに売上げ責任を持たせた「ビジネスユニット制」を導入した。

 「これまでも“売って利益を出す”という意識はあったが、目標と責任が曖昧だったため、ユニット長に営業利益まで含めた責任を明確にした。これらはPC業界では行われていないと聞いているが、それぞれのモデルごとに事業計画を出させ、損益計算書を作成する。“実行人”ということに責任を持たせる。進行状況は全社でチェック。前日までの各機種ごとの販売台数と売上げを機種別、ルート別に毎日出している。結果、社員が数値意識を持つだけでなく、(売上げが落ちたなどの)原因がすぐにわかって対策が打てるようになった。社員全員が数字に意識を持つことで、自然と効率化を図れるようになった」(大田氏)

 原価の改善にも取り組んだ。「普段のオペレーションの効率化を図った。開示はできないが、設計現場での改善で、細かいことの積み重ね」(大田氏)

2016年度に目指すこと
2016年度に目指すこと

成長が見込めないPC市場--PC事業と新規事業の割合は1対1へ

新たに発表したツートンカラーのこだわりデザインPC--VAIO、15.5型「VAIO C15」
新たに発表したツートンカラーのこだわりデザインPC--VAIO、15.5型「VAIO C15」

 PC事業は、今後も大きな成長が望めない今、会社の存続とリスク分散のためにPC以外の柱を作る必要があると説明する。PC以外の事業を“新規事業”と位置付けており、2017年までにPC事業と新規事業の割合を1対1にしていく方針だ。「前倒しするように努力している」という。

 VAIOは4つの「快」を軸にPCの開発を手がけている。具体的には、いつでもどこでもすぐに作業にとりかかれる「レスポンス」、静寂キーボードや必要なインターフェースの実装、タッチ&ペンなどの「インプット」、音質や高精細ディスプレイなどの「アウトプット」、「質感・剛性」──の4つがある。

 また、数量を追わない、頻繁なモデルチェンジを行わないといった基本方針は変えず、着実にビジネスを進めていきたい考えだ。

VAIOが目指すPC、4つの差異化軸
VAIOが目指すPC、4つの差異化軸

 日本では法人向け販路を強化するほか、海外ではブラジルでの成功を受けて、アルゼンチン、チリ、ウルグアイでも販売するなど、海外販路も拡大する方針だ。

 海外での主なビジネス形態は、現地とのパートナーシップによる販売だ。ブラジルでは、現地でオリジナルPCの製造、販売、サービスなど全般を手がけPC市場で地位を持つPOSITIVO INFORMATICAとパートナーシップを結び、同社がVAIO商標をつけたPCを製造、販売、サービスなどを行っている。

 大田氏の口癖は「日々是改善」という。「ようやく離陸した段階。今後も困難や挑戦が待ち受けていると思う。効率性、事業性を高める努力をし、市場開拓、第三の事業の立ち上げなどいろいろ挑戦することはある」と意欲を見せた。

VAIOのPC技術を生かした電子ペーパー楽譜「GVIDO」
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VAIO Zのヒンジ技術を応用し、開閉に強い電子楽譜となっている
VAIO Zのヒンジ技術を応用し、開閉に強い電子楽譜となっている

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