人間が1台のマシンを思考で操作できるようにする画期的なブレークスルーは、すでに実現してきている。次のステップは、大勢のロボットを脳の制御によって動かす方法を見つけ出すことだ。
アリゾナ州立大学(ASU)のHuman-Oriented Robotics and Control Labの研究者チームは、脳の力で複数のロボットを管理するシステムを開発している。
ASUの新しいシステムを使うことで、小型の安価なロボットのグループに作業を実行させることができる。1台が故障しても大きな問題にはならず、残りのロボットが引き続き指示を実行する。ASUの研究者Panagiotis Artemiadis氏は米ZDNetに対し、ロボットの集団は「汚れる作業や単調な仕事、あるいは危険な作業」に利用できると語った。
将来的には、共同で作業するロボットのチームを人間が思考によって管理し、目的を達成させることができるようになるかもしれない。Artemiadis氏は次のように述べる。
この研究は非常に多くの作業に応用できる可能性がある。へき地への医療の提供や、立ち入ることができない環境や被災地での調査や救護、あるいは深海から宇宙まで、遠い未知の環境の探索などだ。そのほとんどは、人が関与する必要があるため、われわれの研究では、人が制御するためのインターフェースを最適化して運用の効率と精度を引き上げることに重点を置いている。
プロトタイプのシステムでは、ユーザーがかぶるスカルキャップに128個の電極が付いており、それがコンピュータに接続されている。キャップは脳の電気的活動を記録し、高度な学習アルゴリズムによってその活動がコマンドに変換されて、無線でロボットに送信される。ユーザーはロボットを目で見て、ロボットが集団から散らばる、一定の方向に移動するといったさまざまな動作をこなす様子を頭で思い浮かべる。従来のジョイスティックでは1度に1台のロボットしか操作できないが、人間の脳ならロボットの集団全体を制御することができる。
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