脳にとっては人間の手足に似た物体を制御する方がはるかにたやすい。この研究の驚異的な点はまさにそこだ。「ある脳領域を活性化して、人間本来の手足に似ていない人工物(この場合はドローンの一群)を制御するために必要なシステムは、極めて複雑であり、これまでは研究されていなかった」とArtemiadis氏は語る。同氏の研究グループは、人が鳥や魚の群れのような集団行動を観察したとき、脳の特定の領域が活性化されることを発見した。「脳が順応して、ロボットの集団に指示を出すという活動ができるようになるという事実は非常に興味深く、人とロボットがやり取りする上で極めて有用だ」(Artemiadis氏)
課題は、人が完全にロボットに意識を集中させなければならないことだ。意識が別のところに行けば、システムは動かない。またASUの研究チームは、脳の活動の解読が正確かつ再現可能であるようにする必要があったが、それは容易なことではなかった。脳の記録は時間によって変化し、電極の位置が少し変わるだけで大きな影響が出るからだ。
「記録の変化にリアルタイムで適応する高度な学習アルゴリズムを開発し、この問題に取り組んだ。それにより、脳の信号が時間とともに変化しても、ロボット群を制御する判断は安定して高精度になっている」(Artemiadis氏)
この研究はまだごく初期段階だが、研究者らの予測によれば、脳で集団を操作するこの種のインターフェースが、今後10年以内にジョイスティックを補う、あるいは取って代わるようになるという。Artemiadis氏は次のように語る。「このようなインターフェースは、軍事やエンターテインメント、また未知の環境や危険な場所の探索が必要なミッションなどで応用されることになるだろう」
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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