日系企業にとって、欧州展開のハブ拠点となり得るオランダ。同国で、創業から4年間で従業員を40人規模にまで拡大させるなど急成長しているのが、システム開発を主力とするクリエイトエントランスだ。好調の要因や現地の商習慣などについて、同社代表の藤村篤司氏に聞いた。
2012年にオランダで起業し、こちらに進出している日系企業や外資系企業にシステム開発のサービスを提供しています。進出のきっかけは前職時代のお客さまがオランダに進出される際、システム開発の面で支援をご依頼いただいたこと。前職の会社ではその仕事を請け負うことができず、一念発起して起業しました。
海外出張はありましたが、実際に生活してビジネスをしたことはありませんでした。それでも実際にオランダに来てみて、当時のビザの下りやすさ、治安の良さ、英語が通じること、法人税率が低いことなど、欧州の他国と比較して日本人にとって事業環境は良いと感じています。IT関連企業としては、安定したインターネット回線を確保できることも安心材料です。
結婚して家族もいますが、それよりもお客さまからのご依頼を断るということに抵抗がありました。それまで経験のないことをご依頼いただくことは、むしろ「機会」ととらえる性格です。とはいえ、お客さまとはあくまで委託関係。資本関係はありませんから、「失敗したらどうなるのか」という気持ちはありました。
実は一度、短期間ではありますがオランダからの撤退を検討するほどの窮地に立たされたことがありました。オランダでの最初のお客さまがサーバ関連のトラブルに見まわれ、その影響で弊社との契約が期間内に切れたことがありました。「起業しても3年以内につぶれる会社がほとんど」とはよく言われますが、弊社もそうなりかけました。実際、会社を残せば残すほど赤字がふくらんでいく状態でした。
会社の清算も頭をよぎり始めたころ、ある大手日系企業の幹部の方に、「何言っているんだ、もう少し頑張ってみろ」と叱咤されまして、その言葉で開き直ることができました。「どうせダメになるんだったら最後までチャレンジして、それでダメだったら『すみません』でいいじゃないか。それで誰も責めないだろう」と。
今月の従業員の給料をきちんと払えるのか、それほど会社の状況は厳しかったのですが、それでもオランダに残ろうと決心しました。先ほどの大きな取引のお話がきたのもちょうどそのころで、ある顧客企業の社長さまに「撤退しようと思っているんです」と相談したところ、大きな案件をご紹介いただけたのです。
はい。ある外資系企業とのシステム開発から、それまで経験のなかったカスタマーサポートまでを請け負う大きな取引につながりました。それに伴い、従業員も増え、現在では創業から4年間で総勢40人の規模にまで拡大しました。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」