さて、ABCレポートで、米国と同じように「マガジンメディア360°」を出してみたいところですが、いくつか、問題というか課題があります。
一つは、「相乗りウェブサイト」の問題です。複数の雑誌メディア合同で一つのサイトを運営している場合、そのサイトのUUを、どう分ければいいか。これについては、「相乗り」している媒体数で割って、各媒体に均等に割り振ることにしました。
もう一つは、「UU」の定義の問題です。日経BP社は、UUの代わりに「UB(ユニークブラウザ)」という指標を用いてます。ウェブサイトでは、訪問しているブラウザの数を実際に計測しているので、より厳密に言うとUBの方が正しい、という議論があります。これについては、本稿では踏み込まず、UUとUBを同一視して集計してみました。
第三に、前編でも述べた週刊誌の扱いがあります。ウェブのUUが月間単位なので、雑誌の部数(日本のABCでは米国のように読者数を調査していないので、ここでは部数を代理指標とします)も月間に揃えたいのですが、週刊誌の部数を単純に4倍するわけにもいきません。この点も今後の課題として、とりあえず本稿ではそのままの数字を使っています。
まず、紙雑誌部数のランキングの、上位20社について見てみましょう。次のグラフがそれです(以下、グラフが読みにくい方は、同じグラフをSlideshareにもアップしていますので、併せてご覧ください。Slideshareのアドレスは、本稿の末尾に紹介しています)。
※(2016年7月13日追記:前編で読み放題サービスについて同じような説明をしましたが、ウェブUUについても、日本ABC協会に対して公開している出版社と非公開の出版社があります。ここでは公開している出版社・媒体のみを対象としていることにご注意ください)
ウェブのUUが圧倒的過ぎて、紙雑誌や電子雑誌の部数の出版社による違いが、ほとんどわからなくなってしまっています。ウェブというメディアの巨大な力が、まざまざと表れた形です。
この傾向は媒体で見ても変わりません。
非公開の媒体がけっこうあるのが残念なところですが、それでも、ウェブに真剣に取り組んでいるメディアとそうでないメディアの差が垣間見え、それが今後媒体の力にどう影響してくるかが興味深いグラフとなっています。
さて、ここまでは紙の部数で並べた場合の上位出版社、上位媒体の話でした。そうでなくて、米国について試みたように、360°の数字に基づいて並べた上位出版社、媒体では構図はどう変わるでしょうか?
なんと、前掲のグラフでは圏外だった東洋経済新報社がトップに立ちました。同様に圏外から、徳間書店、ダイヤモンド社、双葉社などがランクインしています。
東洋経済オンラインの月間UUは2135万。紙雑誌では、なかなかたちうちできない規模です。徳間書店は1411万、ダイヤモンド社は620万、双葉社は270万です。
媒体別で見ても、東洋経済のパワーは図抜けています。
徳間書店の「週刊アサヒ芸能」(1379万UU)、文藝春秋の「スポーツ・グラフィックナンバー」(580万UU)が上位に食い込んでいるのも注目したいところです。
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