人工知能(AI)に関して最も恐ろしいことが、語彙テストだとしたらどうだろう。
確かに、機械がわれわれの知るところの人間性を終わらせてしまうのではないか、と危惧する人もいるが、それは古代マヤ人が予言したこの世の終わりと同じくらい実現の可能性が低いことかもしれない。だが、人工知能はわれわれにとって好ましいことを数多く実現してくれる可能性もある。自動運転車や介護ロボット、ユーザーにとって何がいつ必要なのかを正確に理解するパーソナルアシスタントなどだ。
現在のAI関連の研究、製品、サービスの盛り上がりの裏では、確かに数学や科学が大きな役割を果たしている。しかし、博士号を取っていなくても、基本的な概念を理解することはできる。
ここでは、知っておくべきいくつかの概念を簡単に説明する。
エージェント:ユーザーから直接的な命令がなくても、周りで起きることに反応するソフトウェア。常時オンの状態にあり、独力で動作するという点で、従来のソフトウェアプログラムから一歩進んでいる。一般に、ニュースフィードをまとめる作業や、電子メールを重要度別に並び替える作業など、単一の専門的なタスクを実行する。
アルゴリズム:特定のタスクを実行するための数式または段階的なプロセス。数学におけるレシピやフローチャートと考えると分かりやすい(「x = 1なら、・・・」)。
人工知能:機械でシミュレートされた知能を扱うコンピュータサイエンスの1分野。60年前にこの用語を考案したJohn McCarthy氏は人工知能について、「知能を持つ機械、特に知能を持つコンピュータプログラムを作り出す科学および工学」と定義している。
ディープラーニング:データの関連性の認識を目的とする機械学習(下の項目を参照)の1分野。人間が脳を使ってすることを、ソフトウェアで実行しようとする試み。
機械学習:コンピュータがタスクの学習や新しいパターンの認識を、それらを実行するよう命じる明示的なプログラムなしに、独力で実行できるようにするAIの1つの側面。つまり、適応の1形態であり、真の知能の開発に欠かせない要素である。
自然言語処理:コンピュータが人間の話し言葉をそのままで理解し使用する能力。自然言語処理は、機械学習をベースとするAIの重要な要素だ。これが実現すれば、プログラミング言語が不要になる可能性さえある。
ニューラルネットワーク:複数のノード(ネットワークに接続されたあらゆるもの)を使って、人間の脳の仕組みをエミュレートする情報処理の1形態。ニューラルネットワークは一連の命令に従うのではなく、ノードから入力されるデータを利用して、さまざまな角度から問題に対処し、観察結果を基に推論する。この技術が利用されるタスクは、手書き文字(よく使われる記号がすべて同じような状態にあるわけではない)の認識などだ。
ロボット:人間の活動をシミュレートするソフトウェア。比較ショッピングプログラムもこれに含まれる。「ボット」という短縮形が使われることも多い。皆さんが想像しているかもしれないロボット(ガタガタと音を立ててゼイゼイ言いながら犬のように歩くハードウェアや、明るく輝くC-3PO)には、人工知能とは別のさまざまな機械的機能が含まれる。
強いAI:人間の知能に全くひけをとらない、あるいは人間の知能を凌駕する未来の人工知能。これが実現するのは、まだまだ先のことだ。
チューリングテスト:英国のコンピュータサイエンティストのAlan Turing氏が1950年に提案したテスト。コンピュータの知性的な行動能力を評価する。チューリングテストに合格するためには、コンピュータの自然言語による応答が、人間の応答と区別不可能でなければならない。しかし、チューリングテストの細かく規定された限定的な状況は、AI研究者が求めている多面的で常識的な対話から大きくかけ離れている。
弱いAI:現在の人工知能。Googleの「AlphaGo」プログラムやFacebookの画像認識技術のように、限定的で単一の機能しか持たないソフトウェア。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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