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「“おせっかい”しない方がいい」--金融庁の考えるFinTech支援

藤井涼 (編集部)2016年06月24日 17時27分
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 日経FinTechによる、金融とテクノロジをテーマにしたイベント「Nikkei FinTech Conference 2016」が6月24日に開催された。「FinTech推進のための未来の一手」と題するセッションでは、金融庁 総務企画局 参事官の油布志行氏が登壇。金融庁のFinTech支援のスタンスや、スタートアップ向けの施策について語った。

 金融庁は2015年9月に公表した金融行政方針で、FinTechへの対応を重要施策の1つに掲げた。同庁が明確な方針を示したのは初めてだったが、「これほど好意的で大きな反響があるとは思っていなかった」と油布氏は振り返る。

セッション「FinTech推進のための未来の一手」。モデレーター(左)は、日経FinTech編集長の原隆氏が務めた
セッション「FinTech推進のための未来の一手」。モデレーター(左)は、日経FinTech編集長の原隆氏が務めた

 「行政は金融機関からみても誤解されやすいところがあり、我々の問題意識や意図がよく伝わらないことがある。そのあたりをはっきりと文書にしてメッセージを発信した。(金融庁は)かねてよりFinTechを重視していたので、方針に書いたのも当然の成り行きだった。スタンスを示したことで(FinTech市場が盛り上がる)推進力になったと言ってもらえている」(油布氏)。

 また、5月25日に可決・成立した改正銀行法では、銀行によるIT企業への出資制限が緩和された。この点について油布氏は、「日本のスタートアップは、IPOによるイグジットの意識が高いが、欧米ではM&Aも一般的になっている。(イグジットの)オプションが広がったという意味では、間接的にスタートアップのサポートにつながるのでは」と語る。

 実際、今回の出資制限の緩和については、金融機関よりもスタートアップから歓迎する声が大きかったそうだ。油布氏は、消費者やFinTechスタートアップからすると、金融庁は「規制をする厳しい組織」というイメージを抱かれやすいことから、改正銀行法でFinTechを支える姿勢を明確にしたことには、大きな意味があると語った。

金融庁 総務企画局 参事官の油布志行氏
金融庁 総務企画局 参事官の油布志行氏

 金融庁では、FinTechスタートアップのスピーディな事業展開を支援するため、2015年12月から問い合わせ用のサポートデスクを設け、相談を受け付けている。2日に1件のペースでコンスタントに問い合わせがあり、その多くが開業規制の有無の確認だという。現在は1~2人が対応しており、情報を整理して担当者につないでいる。スピードを重視し、基本的には1週間以内で返答するようにしているそうだ。

 このように、金融庁としてはFinTechを支援する姿勢を見せており、規制を緩めるべきものは積極的に対応するとしている。その一方で、監督する立場でもあるため、バランスをとる必要があると油布氏は話す。たとえば、政府予算で補助金を出してスタートアップを育成するといったところまでは踏み込まない方針だという。

 「FinTechにはおせっかいしない方がいい。国が手を出すと、ろくなことがないことがままある。できることはそれ(規制緩和)くらい」(油布氏)。金融庁としては引き続き、規制緩和などによって事業展開しやすい“場”を整備することで、国内のFinTechスタートアップの成長や、市場の拡大に期待したいとしている。

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