タクシー代が世界一高いオランダ--“急ぎ度合い”で安くなる相乗りタクシー「Abel」 - (page 2)

圧倒的な安さと明朗会計で観光客の味方にも

 相乗りすることで料金を安くするAbelだが、現地の競合サービスと比較するとどのくらい安いのだろうか。

 同社のウェブサイトには、鉄道、カーシェアリングサービスの「car2Go」、Uberが提供する営業許可を持たない自家用車によるサービス「Uber X」(日本には未上陸)、高級車による「Uber Black」、そして通常のタクシーと比較した結果(同社調べ)が掲載されている。

 各サービスを利用してアムステルダム市内からスキポール空港まで乗車した場合(急いでいないことを前提)の料金は以下の通り。

  • 「鉄道」4.44ユーロ
  • 「car2Go」7.75ユーロ
  • 「Abel」16.88ユーロ
  • 「Uber X」28ユーロ
  • 「通常のタクシー」44ユーロ
  • 「Uber Black」45ユーロ

 カーシェアリングサービスは上回るが、通常のタクシーの半額以下、Uberよりも安い。急ぎの際、プライベート利用を選んで目的地へ直行したとしても、通常のタクシーより安く済ませられる可能性もある。

 観光客にもおすすめできる。アムステルダムの中心部は道が狭くいつも混雑しているため、車での移動には予想以上に時間がかかり、タクシーの料金も高くなりがち。Abelなら乗車前に料金が確定するため、想定外の出費を避けられるからだ。

相乗りを楽しめるのはオランダ人ならでは?

相乗り人数は最大4名。新しい出会いに期待も?
相乗り人数は最大4名。新しい出会いに期待も?

 Abelは乗客に、相乗りによる予期せぬ出会いを楽しみ、ソーシャルネットワーキングにも役立ててほしいと考えている。オランダ人といえば、倹約家、真面目、合理的、そして何よりおしゃべり好き。見知らぬ人でも突然話しかけるオープンな国民性も、こうしたサービスが生まれた背景にあったのかもしれない。

 オランダは環境配慮への意識が高く、2025年までに電気自動車以外の販売を禁止する法案が可決されている。Abelが所有しているタクシーはすべて電気自動車であり、その点でタクシー業界では一歩先を行く存在と言える。Abelは今後、オランダ各地に進出することを計画している。

(編集協力:岡徳之)

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