スマートフォンネイティブが見ている世界

SNSで「ネットストーカー」が起きる理由--10代も罠にはまる - (page 2)

ネットで加速するストーカー行為

 関東地方在住の高校1年生男子A太は、近畿地方に住む同学年の女子とインターネットを通じて親しくなった。もともとは同じゲームユーザーだったところから盛り上がり、やりとりする度に親しくなっていったという。お互いに恋愛感情を抱き、夏休みに1度だけ会いに行った。楽しかったが、徐々に連絡が途絶えがちになり、別れることになってしまったそうだ。「やりとりの99%がSNSだったから、別れた実感があまりない。リアルで話すよりSNSでのやりとりのほうが盛り上がった」。

 大学1年生女子B子は、恋人のSNSを事細かにチェックしている。以前、彼の過去の投稿に対して「いいね」などをつけすぎて引かれてしまったため、匿名のアカウントを作成し、過去の書き込みをすべてチェックするようになったという。「彼の行動はすべて把握していると思う。わかっていれば安心なので、知ることが大事」。

 SNSの書き込みで知って、偶然を装って会いに行ったこともあるそうだ。一度、SNSを見なければわからないことを知っていて不審がられたが、それ以来「リアルで聞いたこと」と「SNSで調べたこと」は、区別するよう気をつけているという。

 A太のように、SNSでのやりとりで相手を好きになるケースは多い。リアルで知り合った相手でも、やりとりの大半がSNSということも多いようだ。SNSは情報が十分に得られる一方で、本心を隠すことも難しくない。自分側で関係性をコントロールしやすく、若者にとってコミュニケーションが“楽”なのだ。

SNSストーカーにならない/された時の対策とは

 あらゆるコミュニケーションがSNSで行われている今、自分がストーカーになることもあるし、されてしまうこともある。SNSストーカーにならないための対策、ストーカーされる側の対策はどうすればいいのだろうか。

 SNSは情報が得られすぎてしまうので、心理的な距離感が狂いやすい。自分が相手の過去の投稿や交友関係などをチェックし始めたら要注意。SNSはなるべく見ないようにして、コミュニケーションはなるべくリアルでするように心がけよう。

 ストーカーされる側の場合は、個人情報の出しすぎに注意。特に、位置情報を含めた自宅などは出さないこと。相手に自分は特別と誤解させることがないよう、ダイレクトメッセージなども送らないようにしよう。相手の行動に異常が感じられたら、すぐに証拠を保存、プリントして警察に相談に行くといいだろう。なるべく1人にならず、複数で行動するように心がけよう。

 ブロガーの女子大生C美が、飲食店に写真付きでチェックインして食事していたところ、ファンの男性が店に来てしまい「C美ちゃんですよね」と話しかけられた。「おかしなことはされなかったが、こういうこともあるんだと思って怖くなった。それ以来、チェックインは店を出るときにするようにしている」と言っていた。このようなアーティストやアイドルではなくても、ストーカー被害につながる可能性はある。居場所をSNSなどに公開する際には安全対策が必要だろう。

 SNSでは人はストーカーになりやすく、されやすい側面がある。周囲の大人たちは、コミュニケーションの練習中である10代の子たちが、そのような危険な目に合わないよう注意してあげてほしい。

高橋暁子

ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業等のコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育について詳しい。
元小学校教員。
『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(共に日本実業出版社)他著書多数。
近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)。

ブログ:http://akiakatsuki.hatenablog.com/

Twitter:@akiakatsuki

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