世界のスマートフォン販売台数が2桁成長を記録する時代は終わった、と市場調査会社のGartnerは米国時間6月7日に述べた。同社は2016年における販売台数の成長率7%と予想している。参考までに、2015年の年間成長率は14.4%で、ピークは2010年の73%だった。
具体的な販売台数に目を向けると、スマートフォンの販売台数は2016年に15億台を記録し、2020年には19億台に達する見通しだ。
市場はスマートフォン疲れと呼ばれる現象に苦しんでいる。消費者は以前ほど新しいスマートフォンの購入に積極的ではない。魅力的で絶対に手に入れたいと思わせる機能が不足しているからだ。さらに、特に米国ではモバイルキャリアが販売奨励金プランを廃止しているため、消費者は正規の小売価格でのスマートフォン購入を余儀なくされており、これまでより長く既存の端末を使い続ける傾向が強くなっている。
そのため、ワイヤレスキャリア各社やAppleなどの一部ベンダーは、契約からわずか1年後に新型スマートフォンをユーザーに提供するアップグレードプログラムを推進している。しかし、それらのプログラムはあらゆる消費者の心をつかんでいるわけではない。
Gartnerのリサーチディレクターを務めるRoberta Cozza氏は声明の中で、「これらのプログラムは万人向けではない。ほとんどのユーザーは2年間、または以前より長い間、同じスマートフォンを喜んで使い続けるからだ。スマートフォンテクノロジのアップデートが急激なものではなく、漸進的なものになったことも、その大きな理由である」と述べた。
米国や欧州、日本などの主要市場では、スマートフォン所有が飽和点に達しており、新規購入者はほとんどいない。成熟市場では、所有者は同じスマートフォンを約2.5年間にわたって使用する、とGartnerは述べた。新興市場では、人々はハイエンドスマートフォンを2.2年〜2.5年、ベーシックなスマートフォンを少なくとも3年使用する。
成熟市場が飽和点に達したことを受けて、業界はインドなどの地域に焦点を移し始めている。インドでは、2016年のスマートフォン販売台数が1億3900万台を記録する見通しだ。しかし、インドのほとんどの消費者にとって、高価なスマートフォンは手の届かないものだ。インドにおける携帯電話の平均販売価格は70ドル以下である。
中国もスマートフォンベンダーにとって健全な機会のある国だが、Gartnerによると、既に飽和点に達しており、今後5年間は今の状態が続く見通しだという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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