世界トップレベルの囲碁棋士を負かし、電子メールの返信にも利用されているGoogleの人工知能(AI)ソフトウェアが、「iPhone」向けにリリースされる。
Googleは米国時間6月6日、AppleのiPhoneや「iPad」に搭載されるソフトウェア「iOS」のサポートを追加したTensorFlowの初期バージョン(バージョン0.9のリリース候補版)を公開した。TensorFlowは、人間の脳細胞と同様の方法でコンピュータにデータを処理させる「ニューラルネットワーク」ソフトウェアで、コンピューティング業界に旋風を巻き起こしているAIの主要基盤である。
TensorFlowを搭載すればiPhoneのIQが直ちに上昇するというわけではないが、そのニューラルネットワーク機能は、さらに洗練されたアプリにつながるものだ。GoogleやTensorFlowを利用するその他の企業から、そのようなアプリが提供されることになるだろう。TensorFlowは既に、Google独自のモバイルソフトウェアである「Android」と連携する。
Googleは数カ月間にわたり、TensorFlowをiOS向けに提供するための作業に取り組んできた。文章構造の理解といった高い処理能力を要するタスクには、さらに強力なマシンや、マシンネットワークが必要となる。しかしニューラルネットワークは、小型端末でも利用可能だ。例えば、写真の被写体の認識や、「MemKite」という別のニューラル・ネットワーク・ソフトウェア・プロジェクトが目指しているように、スマートフォンに特定の物体の外観を学習させることができる。
Googleは、これまでに100を超える領域で機械学習技術を利用しており、魅力的な新しいサービスの提供にAIを活用したいと考えていることは明らかである。最終的にユーザーは、特定の1台のスマートフォン以外でもこれらのサービスを利用することになると同社は信じている。
「ゆくゆくは、どのような形態であれコンピュータそのものが、1日を通して人々を支えるインテリジェントなアシスタントになるだろう」と、Googleの最高経営責任者(CEO)を務めるSundar Pichai氏は同社が株主宛てに年1度発行する書簡に記した。「われわれは、モバイルファーストからAIファーストの世界へと移行していく」(Pichai氏)
GoogleはTensorFlowソフトウェアをオープンソースとしてリリースしているため、誰でも無料で使用または変更することができる。実際、リリースノートによると、同社に在籍しない46人の人物が次期バージョンの開発に貢献しているという。
TensorFlow 0.9の正式版がいつリリースされるのかは明らかではない。Googleにコメントを求めたが、直ちには得られなかった。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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