Googleは、Google Appsのカレンダーアプリに新機能「ゴール」を追加した。これは、達成したい目標をあらかじめ設定すると、カレンダーが算出したベストであろう時間に自動で予定を入れる機能だ。
例えばランニングを達成目標に設定すると、カレンダー側で自動的にランニングのスケジュールを設定する。もし、その日にランニングをしなかった場合は、予定のリマインダーにある「延期」ボタンを押すことで、予定を実行できそうな時間帯を探し出して自動的にリスケジューリングする。
また、複数人のカレンダーから共通で空いた時間を見つけ出してくれる「時間を探す」機能も登場した。面倒な会議のスケジューリングなどで効果を発揮してくれそうだ。
これらの新機能はすべて「Make Time」と呼ばれるテーマにもとづいて開発されており、Googleが推し進めている機械学習も取り入れられている。2つの機能は連携しており、時間を探すではゴールで設定されたスケジュールを避けて調整してくれるので、“自分のための時間”をキープしながら効率的なスケジューリングが可能となる。
こうしたユニークな機能を実装した狙いとは何か。また、機械学習がもたらした効果などについて、米国のGoogle本社でGmail&Google カレンダー製品担当プロダクトマネジメントディレクターのアレックス・ガウリー氏に話を聞いた。
カレンダーを使って、個人が持つ目標や理想の達成を支援したいのです。たとえば、ランニングする、読書する、家族との時間を増やすという目標をゴールを使うことで叶えることができます。
機能の実装にあたり、学術研究結果を調べました。ランニングを日常に取り入れたいという目標を設定した人で、自然に目標を達成できる確率は30%にすぎません。これを改善する方法として、ランニングがいかにメリットがあるかを説明するよりも、ユーザーが週に何回ランニングするか、朝にするか、夜にするかなど、何らかの形でユーザー自身が目標にコミットしていくよう働きかけることで、達成率が90%に上がったという結果を見つけたのです。こうしたヒントから、ゴール機能の実装に至りました。
いいえ(笑)、自分は目標を達成することが苦手でした。ただ、こうした問題は自分だけではなく、目標を達成するために、既存のカレンダーアプリを工夫して使用していたユーザーは多くいました。
しかし、ランニングの予定を入れても、実はその時間は別の予定とバッティングしてしまっており、カレンダー上のランニングの予定をスライドすることなく、結局達成できなかったということも多くあると感じています。
2016年の初めに、週3回のランニングをゴールとして設定しました。結果、アシスト機能があまりにもうまくいったため、少し頻度を下げる必要がありました。また、別の開発メンバーは読書をゴールに設定したところ、ゴール設定後の3カ月分の読書量が、2015年1年間の量を上回ったのです。
以前のカレンダーでは、確実なタスクのみ入力していました。今回のゴールでは、ユーザー自身が達成したいとする目標を支援します。ユーザーは、自身のふるまいを変えたいとする意識をもともと持っているのですが、これまでそれを支援するツールが無かったのです。
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