ダンボールでできたスマホVRビューアとして知られるハコスコに5月、KDDI Open Innovation Fundを通じて出資したKDDI。
2016年夏モデルでは、サムスン電子のスマートフォン「Galaxy S7 edge」を予約購した人全員に、ゴーグル型ヘッドマウントディスプレイ「Gear VR」をプレゼントするキャンペーンを実施するなど、VRに力を入れている。KDDIは6月6日、VR関連の取り組みについて説明会を開催した。
KDDI 商品・CD統括本部 商品企画部 部長の松田浩路氏はキャンペーンが好調で、「Galaxy S7 edge本体もそうだが、VRの認知度向上につながっていると日々実感している」とコメントした。
KDDIはなぜVRに力を入れるのか。「現在は文字や画像による“情報の共有”が主だが、今後は“体験の共有”になっていく。その1つとしてVRがあると思い取り組んでいる」と松田氏は説明する。
通信キャリアにおけるコミュニケーションサービスは、電話からスタートし、次にテキスト、写真を送り合うようになった。今は動画のフェーズだ。さらに顧客体験価値を向上させる次世代コミュニケーションとしてVRがあり、より大容量で超低遅延なネットワークを必要とするVRは、今後サービス開始が予定されている第5世代通信規格、5Gを活用できるコンテンツでもある。
サムスンが6月5日からGear VRでツール・ド・フランスを体感できるイベントを開催している。すでに海外では360度のスポーツコンテンツを配信している動きもあるとし、「これまでできなかった体験をコンテンツを見る側ができるようになる」と説明した。
KDDIは、米国で3月に行われたクリエイティブ・ビジネス・フェスティバル「SXSW 2016」(サウス・バイ・サウス・ ウエスト)に出展。そこで公開したコンテンツ「Linked-door」のデモを記者会見の会場でも披露した。
Linked-doorは、HTCがValveと共同で開発したPC向けのVR専用デバイス「HTC Vive」を用いたもので、プレイヤーの位置や動作などリアルタイムに検出する「ルームスケールVR」を特徴とする。
具体的には、HTC Viveを装着すると、相手から着信通知が表示される。空間上で「Accept」すると白いドア「Linked-door」が現れ、相手が誘う場所に実際に歩いて入る。すると、VR空間でキャラクター(着信相手)とのインタラクションを楽しめる。海の見える空間で乾杯したり、女性とすれ違ったりできる。このほか、海中でマンタやクジラなどを楽しめる癒し系コンテンツなども用意した。
SXSWでは、2016年度より「VR/AR Experience」ブースを新設。KDDIのブースはVR/AR Trackに出展した13社の中でも最も集客が多く、最大2時間待ちだったという。世界中より来場する先進クリエーターの反応を確認し、将来のイマーシブ(没入)コミュニケーションの可能性に手応えを感じたという。
今は写真としてアルバムを見るが、今後は360度の空間で体験できるアルバムに変わるかもしれない。友達との買い物もVRの空間ででき、さらに店員が出てきて『お手伝いしましょうか?』と助けてくれるかもしれない。
現状は、HTC Viveのような性能を重視したハイエンドな体験と、スマートフォンを活用した手軽に楽しめるモバイル型のカジュアルなVRと二極化するが、将来的にはハイエンドな体験を手軽に楽しめる環境になると見る。
カジュアルなVRの代表とも言えるハコスコに投資したのも、今後のVRビジネスでの事業展開やVRコンテンツおよび制作ノウハウなどの蓄積、既存のAR事業「SATCH」とのシナジー効果を見据えたもの。
一方で、VRの体感は口頭や動画では伝わりにくく、実際に体験してもらうことが重要になる。まずは直営店のau SHINJUKUにてVR体験イベントを実施するほか、状況を見て、今後他の店舗での展開を検討していくとしている。
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