この手のサイトはどこも、ファッション雑誌や、ロンジーでパーティーに出席する映画スターのニュース画像、仕立店・生地店の店頭やサイトなどから、好みのデザインを見つけてきては自分のページへアップロードしている。女性たちは、そこからお気に入りのデザインを見つけ、似たような生地を探して仕立て店へと駆け込む。日本人の感覚からすれば、転載されたロンジーのデザイナーから訴えられないか気になるところだ。
ロンジーには男性用と女性用で少し違いがあるのだが、女性の場合、「タメイン」と呼ばれる筒状に縫った布を腰に巻きつけ、上半身にはブラウス「インジー」をまとうのが基本。上下とも身体の線にそったスタイルが美しいとされ、ほとんどの人は仕立店で仕立ててもらう。つまり、レディメードがほぼ存在しないため、デザインを真似した・された、という話になりにくいのだ。
こうした中、これまでロンジーの流行を支えていたのは、主に織物会社だった。大手の織物会社が「次に流行させたい柄」を決め、デザインブックやファッション雑誌で取り上げてもらったり、映画スターにその布を使ったロンジーを提供して着てもらったりといった作戦をとってきた。仕立店ではそういった本や写真をたくさん用意し、訪れた客が持ってきた布に合うデザインを提案する。
こうした口コミに近い形での流行では、ひとつのデザインが流行し始め、やがて全盛期を迎えて廃れるまでのサイクルに1~2年かかっていた。たとえば、2014年に爆発的に流行したダークな色合いの細い縦縞は、2012年頃からぼつぼつ出始め、流行が収束したのは2014年の半ば頃であった。次に流行した鮮やかなマドラスチェック風の格子模様も、流行から収束まで似たような時間がかかった。
しかし、この格子柄が人気を呼び始めた頃、ミャンマーでは先述したFacebookの大流行が起こった。そしてそれは、デザインコレクション系ページ人気へと繋がっていく。全国の女性たちは気軽にこれらのページへアクセスし、最新スタイルを知ると、すぐに注文できるようになったのだ。
これにより、流行の速度が一気に速まった。ここ半年でも、子どもが好みそうなキャラクター柄と黒布を組み合わせたスタイル、緞子(どんす)のような織物に無地布を上下にあしらったスタイル、ブラウスにオーガンジーをあしらったスタイルと、その変化には目まぐるしいものがある。
Facebook人気により、大きく変化したミャンマーのファッション事情。しかし、その変化が民族衣装から洋服へと舵を切らないところが、外国人の目からはミャンマー文化の不思議なところでもあり、面白くもある部分だ。
(編集協力:岡徳之)
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