インドにおけるモバイルウォレットの魅力は3つある。
1つ目は、デポジットする方法が豊富であること。クレジットカードやオンラインバンキングでのデポジットも可能だが、先述の通り多くの人はそれらを持っていない。そこで、ATMや多くの小規模な小売店でもデポジットを可能としている。MobiKwikにいたっては、入金対応を担当するスタッフがユーザーの居場所を訪れ、その場でデポジットするサービスも提供している。
2つ目は、利用を促す特典が多いこと。キャッシュバックやクーポンなどユーザーへのリワード(報酬)が豊富で、かつその還元率が高い。モバイルウォレットを通じて決済すれば、20~50%の割引を受けられることもめずらしくない。
3つ目は、決済可能なシーンの幅が広いこと。学校の授業料など、各種教育機関への支払いにも対応している。その幅は日に日に広がっている。
MobiKwikのユーザーは、現在3000万人で50万店舗に導入されている。一方のPaytmは2015年8月にユーザー数1億の大台を突破し、いまも成長に拍車をかけている。
せっかくなので、MobiKwikを使ってモバイルウォレットへのデポジットを体験してみた。以下は、その手順だ。
モバイルウォレットは、日本人を含む旅行者にとっても嬉しい決済手段かもしれない。インドでオンライン決済しようとする際、日本の銀行口座が紐付いているクレジットカードは利用できない場合が多い。モバイルウォレットならオフラインでのデポジットも可能なため、現金さえあれば確実に決済できるだろう。
Paytmは2015年8月にRBI(インド準備銀行)から「Payment Bank」設立の免許を取得した。Payment Bankとは決済銀行のことで、RBIが監督する全国民に銀行口座を持たせる主旨に沿ったれっきとした金融機関のこと。
Payment Bankの許認可は41事業者の応募からPaytmを含む11の事業者が取得している。Paytmが順調にPayment Bankとしてのサービスを開始すれば、10万ルピー(約18万円)までしか預金できないなど制限はありつつも、さらに多くのユーザーの獲得につながるだろう。
インドでモバイルウォレットがさらに浸透し消費活動が促進されれば、同国の存在感がますます強まることは必至だ。
(編集協力:岡徳之)
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