シンガポールで2016年4月、インターネット広告事業を主力とする「AdAsia Holdings」が設立された。代表は、国内アドテク大手マイクロアドで東南アジア6カ国の立ち上げとCEOを担い、全拠点で黒字化を達成した実績を誇る十河宏輔氏だ。
AdAsiaは、2018年までに日本や韓国、インドなどを含むアジア12カ国に現地法人を設立し、3年以内の上場を目指している。「伸びるアジア市場にビジネスの勝機を感じ、事業を拡大させる自信がある」と語る同氏に、戦略と起業の背景について聞いた。
――AdAsiaの事業領域・内容と現在の会社規模について教えてください。
弊社は、企業のデジタルマーケティングを支援する会社で、インターネット広告に関する業務、特に広告プラットフォームの開発と運営を主力事業としています。
4月にグローバル本社としてシンガポール現地法人を設立し、ファイナンス、PR、営業などの業務を担当する社員が7人働いています。5月には、本社からの100%出資でタイの首都バンコクに現地法人を作り、そこが今のメインの営業拠点。営業と納品などオペレーション業務を担う社員が約20人います。
私自身は、シンガポールとタイを半々で行き来する生活をしていて、2016年内にはベトナムと香港、インドネシア、台湾、日本にも現地法人を設立する計画です。
――最初の現地法人にタイを選んだ理由は。
ビジネスの立ち上げやすさが最大の理由です。タイ政府が発行する投資認可BOI(Board of investment)というものがあります。審査を通過し、BOI企業として認められると、数年間の法人税の免除や外国人採用における優遇措置が受けられるため、これを利用しました。前職のマイクロアドで東南アジア6カ国を担当していたときに、2015年の成長率が最も高い拠点だったことも、タイを最初の支店に選んだ理由です。
将来性は、人口の多いインドネシア、ベトナム、フィリピンの方が大きいのかもしれませんが、今年や来年という直近のマーケットの状況、成長度を鑑みると、タイは早めに押さえておいたほうがいい。
2018年までにアジア12カ国に進出し、このエリアを面で捉えた国を横断するような事業を展開するためにも、まずは確実なマーケットでシェアを獲得し、会社を軌道に乗せたほうが良いと判断しました。
タイの拠点は、年内にも50人規模にまで拡大する予定です。採用にも力を入れており、1回の募集で100人以上の応募があります。それほど東南アジアのネット広告市場は盛り上がっていて、活躍するチャンスをつかもうとする若者も多い。まだ立ち上げたばかりですが、年齢も国籍も越えて志の高い人たちとチームを作り、働けることにやりがいを感じています。
――事業の進捗状況は。
好調で、先月も計画以上の収益を上げることができました。主力商品は「AdAsia Digital Platform」。広告主企業が効率的にマーケティングを展開するためのトレーディングデスクと、メディアが広告収益を最大化できるプラットフォームを併せたものです。
Google、Facebook、Instagramを中心に、現在数多くの広告配信プラットフォームがあり、広告主や代理店はプラットフォームごとに広告配信をし、効果を検証する必要がありました。このサービスを使えば、それが1つのダッシュボード上で完結します。機能の使いやすさに加えて、弊社が独自で開拓している東南アジア各国のローカルメディアの広告枠を提供できることもサービスの強みです。
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