【ゆとり記者の古モノ修理記】キヤノン史に残るコンパクトカメラ「キヤノネット」

 (後編を公開しました)

 CNET Japanの編集記者が日々の取材や暮らしの中で気になったサービスやウェブで話題のトピックなど気になっていることを紹介していく連載「編集記者のアンテナ」。第45回は、主にウェブサービス周りを取材している山川が担当する。

 今回は、フィルムカメラの修理記録をお届けする。実は私はもともと分解が好きで、趣味でPCなどを修理しては、たまにSNSに投稿していた。 先日、初めてフィルムカメラを修理し、Facebookに写真を投稿したところ、先輩記者の目に留まり「記事にしたらいい」と勧められた。腕は素人だが、興味がある方は少しお付き合いいただきたい。

シンプルなデザイン、かわいいキヤノン旧ロゴと、女子が持っても違和感がない。実際に女子からのウケもいい
シンプルなデザイン、かわいいキヤノン旧ロゴと、女子が持っても違和感がない。実際に女子からのウケもいい

私と二つ周り年上の“55歳”

 分解は楽しい。もちろん壊すこともあるので、正常に稼働している時は極力分解しないことにしている。ただし、経年劣化であったり何かしらの要因で動かなくなった物、通常であれば捨てられる物を分解・修理して、“救えた”時の達成感がなんとも忘れられないのだ。といっても、電子工学や機械工学を専攻していたわけではなく、電気的な知識も特段持ち合わせていないため、救えなかったガジェットも数えきれない。ただ、自分の興味のまま、悩み、発見し、(時にはネットの力を借りながら)解決していく。孤独だが、不思議と寂しくない。

 今回手に入れたカメラとの出会いは土曜昼下がりの秋葉原だった。4月に入りもっぱら春の陽気で、気持ちよく秋葉原散策を楽しんでいた。「パーツ通り(秋葉原の中央通りから御茶ノ水方面に1歩入った通りの通称である)」とさらに奥の通称「ジャンク通り」は、PCパーツ、デジタル製品、中華系とみられる怪しげなガジェットのほか、中古PCやジャンクパーツのみを扱う店がひしめき合い、カオスな空間を醸し出している。個人的に秋葉原で一番好きなエリアだ。

 散策中、古いビルの開けた空間に間借りして、商品を並べている一角を見かけたので中に入ってみた。ここは、いつも怪しいガジェットや出所不明の商品が並んでおり、そいういった面白さからたまに足を運んでいた。ただし、今回はいつもと様子が異なっていた。往年のフィルムカメラがオール100円でカゴに積まれてあったのだ。

 「マジかよ…」

 フィルムカメラにそこまで傾倒していたわけではないが、正直興奮した。聞いたところ、何でも群馬の倉庫に10年ほど眠っていた代物だという。この売場に気づいたおじさま達もぞろぞろとカゴを囲みはじめ、静かなる戦いの火蓋が切って落とされたのである。

 われ先にと手に入れたカメラのうちの1つが「Canonet(キヤノネット)」である。電池不要で自動露出を実現した機械式カメラで、フィルムさえあれば簡単に撮影できる。このカメラの存在は知らなかったものの、キヤノン旧ロゴの可愛さと、重くガッシリしたボディに惚れた。発売は1961年1月で、今年で55歳を迎えた。私が今28歳なのでほぼ二つ周り年上の“先輩”である。

キヤノネットの本体。キズやアタリはあるものの、年代にしてはきれいな方である。搭載するレンズは45mmF1.9と明るい
キヤノネットの本体。キズやアタリはあるものの、年代にしてはきれいな方である。搭載するレンズは45mmF1.9と明るい
トップカバーには「Canonet」の刻印。シャッターボタンにはロック機構も備える
トップカバーには「Canonet」の刻印。シャッターボタンにはロック機構も備える
一般的なフィルムカメラと異なり、初代キヤノネットのフィルム巻き上げレバーは底面にある。左手でフィルムを巻き上げ、右手でシャッターが切れるので速写性に優れるとしていた
一般的なフィルムカメラと異なり、初代キヤノネットのフィルム巻き上げレバーは底面にある。左手でフィルムを巻き上げ、右手でシャッターが切れるので速写性に優れるとしていた

 詳しい説明はあとにして、このカメラ、入手してすぐにファインダーの状態が悪化してしまった。そこで、ものは試しと分解してみることにした。

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