SNSの反応が気になって何度も見てしまったり、反応数を必要以上に気にしてしまう10代の若者は多い。A菜に聞くと、「『SNSの反応なんて意味がない』という意見は聞いたことがある。でも、やっぱり反応があると嬉しいし、もっとほしくて頑張ってしまう」と言っていた。同じように感じる人は多いだろう。
mixiでも、コメントなどがあった時に出る赤い数字があると嬉しいという話はよく耳にした。自分のページを見た証である「足あと」が増えるのが嬉しくて、何度も確認してしまう人も多数いた。どれも「承認欲求」の現れだ。この欲求が暴走してmixi依存症になってしまう人も少なくなかった。
SNS疲れは日本だけの話ではなく、他の多くの国でも起きている。中には鬱になる人も現れている。では、SNS疲れに陥らないためにはどうしたらいいのだろうか。
SNSでは始終他人の目にさらされており、SNS疲れにつながる。たまにSNSを休んでも本当の人間関係は変わらない。SNSごとの通知を切ったり、休日などはスマートフォンを家に置いて出かけるのもいいだろう。「休日はSNSをあまり見ないので返事が遅くなります」などと書いておくと安心だ。
返事が必要な連絡がくることもあり、SNSをまったく見ないことは難しい。そのような場合でも、利用時間を決めることで対処可能だ。たとえば、通学・通勤時間のみ見る、朝と夜だけ見る、利用時間は1日1時間以内に抑えるなど、利用時間を決めるといいだろう。スマートフォンからFacebookアプリを削除してFacebookメッセンジャーアプリだけを残してもいい。ポイントは、SNSに使われるのではなく、自分がSNSをコントロールすることだ。
他人の投稿や反応が気になるのは、関係性がネット中心になっているからだ。コミュニケーションにおけるネットが占める割合を減らし、リアルな友人・知人はなるべく実際に話すようにすると、ネットとリアルのずれや、親しい相手、人との距離感などが分かってくるはずだ。
SNSなどのネットコミュニケーションは便利だ。遠い場所に住んでいて、なかなか会えない人とも情報交換ができる。しかし、コミュニケーションをネットに頼りすぎるとひずみが生まれ、苦しくなってしまうことがある。本来、他人の気持ちは見えないが、SNSによって見えるような錯覚を覚えることが問題につながっているのだ。
子どもたちはコミュニケーションの仕方について学んでいる時期だ。周囲の大人は、彼らがこのような状況に陥っていることを知り、アドバイスしてあげてほしい。
高橋暁子
ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業等のコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育について詳しい。
元小学校教員。
『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(共に日本実業出版社)他著書多数。
近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)。
ブログ:http://akiakatsuki.hatenablog.com/
Twitter:@akiakatsuki
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