iFデザインアワード 2016の金賞を受賞した、キヤノン、ニコン、ソニーの3社4製品のデザイン担当者が語った「デザインのプロセス」を全4回で紹介する。今回はソニーのスマートDIYキット「MESH」。ソニークリエイティブセンターチーフアートディレクターの石井大輔氏は、コンセプト自体が新しいMESHにデザインの面からどんな工夫を凝らしたのだろうか。
MESHは、電子タグと専用アプリを組み合わせて、デジタルなものづくりができるスマートDIYキット。「MESHキャンバス」と呼ばれるアプリ上でMESHタグのアイコン同士をドラッグ&ドロップでつなげると、実際のMESHタグを連携できる。
ソニーの新規事業創出プログラムの1つとして発売された製品で、企画自体は社内のオーディションを勝ち残ってきたものだ。「そもそも使い方が新しいので、トライする形でワークショップを行った」と、ロンドンのオフィスでMESHのデザインを開始した石井氏は当時を振り返る。ワークショップはロンドンのほか、東京でも回数を重ね、そこから商品の方向性とターゲットユーザーを定めていったという。
「通常ソニーの商品を発売前にお客様に見せることはない。しかしMESHは新規事業創出プログラムの商品として、発売前にお客様に実際に見せることで長所と弱点を探っていった」と、実際に触りながら、そしてユーザーの反応を見ながら、商品開発を進めていったと、石井氏は話す。
トライアルから見えてきたことも多い。「当初、アイコンのカラーはすべてブルーを採用していたが、実際に並べて見ると使い方がわからなくなるため、機能によって色分けすることにした。また、ブロックを2色のユニットにわけることで、簡単な操作性を実現できた」。MESHは24mm×24mmのキューブ型を2つ並べた長方形。下のキューブにカラーを、上のキューブにボタンなどを配置するデザインを採用している。
また、寒色系はインプット、暖色系はアウトプットとカラーに機能をもたせ、どちらでもないデバイスや、デバイス同士をコネクトするものはグレーを配色。色に機能の意味を持たせた。
アプリ上で、メッシュタグ同士を接続させると発生する音のデザインも、デザイナーが手がけている。現在7種類のそろえるMESH。金賞受賞には、直感的なインターフェースと色と連動した操作性が評価された。
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