東芝「REGZA」11年目の決断--村沢副社長が語るこれからのテレビ

 東芝ライフスタイルは4月19日、液晶テレビ「REGZA」の新モデルとして「Z700X」シリーズ、「M500X」シリーズを発表した。いずれも4K解像度で、高コントラストの「HDR(High Dynamic Range)」に対応。最新のスペックを備える。


「REGZA」の新製品「Z700X」シリーズ、「M500X」シリーズを発表

 REGZAは2006年に登場した東芝のテレビブランドで、2016年は10周年にあたる。しかし10周年を目前に控えた2015年には、北米欧州などの地域で事業の終息を発表。東芝ブランドを供与する形へ変更した。

 国内では、2014年に設立した「東芝ライフスタイル株式会社」でテレビ事業を継続しているが、3月には、同傘下にある家庭電器事業を中国家電大手の美的集団股份有限公司(美的)へ譲渡することを明らかにした。テレビ事業に関しては、東芝グループ内で事業を継続。2016年上期中に新会社を設立し、国内BtoC、BtoBビジネスに注力していく方針だ。


東芝ライフスタイルの取締役副社長 ビジュアルソリューション事業本部本部長である村沢圧司氏

 東芝ライフスタイルの取締役副社長 ビジュアルソリューション事業本部本部長である村沢圧司氏は「国内のテレビ市場は2009~2011年のアナログ地上波停波、エコポイントなどの特需が発生し、その後、反動による買い控えが起こった。テレビ業界は非常に苦戦したが、2016年からは、その時の買い換え時期に突入しており、需要は挽回している」と現状を分析する。

 東芝によると、2016年度の液晶テレビにおける4K構成比は台数ベースで27%(2015年度は14%)、金額ベースで60%(同38%)にまで上る見込みで、うち49V型以上の大画面テレビについては85%が4Kに切り替わると予測する。

 村沢氏は、2010年に発表した、裸眼3Dテレビ「グラスレス3Dレグザ GL1」を例に挙げ、「世界初の4Kパネルを使ったテレビだったが、事業的には全く売れなかった。しかしこのテレビを作ることで、4Kテレビの開発を他社に先駆けてできたことは事実。挑戦的な商品に取り組む姿勢は忘れない」と今後のテレビ作りに意欲を見せる。

 REGZAが歩んできた10年間でテレビの位置づけは大きく変わった。セットトップボックス(STB)が内蔵され、テレビ録画に対応し、映像配信サービスもまでも見られるようになった。「テレビ放送、動画配信を含め、これだけ楽しくて豊かなコンテンツを楽しめる国として日本は突出している」と村沢氏は感想を述べる。


2006年モデルの「37H1000」と最新モデルの「50Z20X」の比較
  • 発表会にゲストとして登場したNTTぷららの代表取締役社長である板東浩二氏。「STBを真っ先にテレビに内蔵してくれたのが東芝のREGZA。粘り強く取り組んでくれた」とコメントした

  • Netflixを他社に先駆けて採用したのも「REGZA」。Netflix代表取締役社長であるグレッグ・ピーターズ氏も登場した

 村沢氏は「これらのコンテンツをストレスなく楽しめるような形を提供することがテレビメーカーの使命。REGZAが提供する『みるコレ』はその1つの答えだと思っている。これからも感動の最大化に努めていく」今後のREGZAのあり方を示した。

 2015年12月に発表された東芝グループ全体の構造改革では、テレビ事業に関して、高付加価値製品へと転換する方針を打ち出した。大半を海外で調達する予定だが、ホテル需要向けなどBtoB需要を見込み、一部の高画質小型製品を青森県三沢市にある東芝メディア機器で製造する。市場規模に関しては、大型テレビが約60万台、小型テレビが15万台、合計80万台程度の規模で、利益の出る体質を目指す。


会場では「8K REGZA」も披露された。「Z700X」シリーズに搭載されている映像エンジン「4KレグザエンジンHDR PRO」4つを使って駆動しているという

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