iPhoneロック解除とは「無関係」--サン電子の子会社がインターポールと契約

藤井涼 (編集部) 飯塚 直2016年04月13日 17時44分
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 サン電子は4月13日、イスラエルの子会社であるCellebrite Mobile Synchronization(Cellebrite)が、国際刑事警察機構(インターポール)とパートナーシップ契約を締結したと発表した。Cellebriteは、「iPhoneのロック解除」問題で、FBIに協力したのではないかと噂されていた企業だが、同社広報は「特にコメントはない」とした。

IGCI総局長の中谷昇氏(右)とサン電子CEOの山口正則氏(左)
IGCI総局長の中谷昇氏(右)とサン電子CEOの山口正則氏(左)

 2015年12月、米国で起きた銃乱射事件の犯人が所有していたiPhoneのロック解除に、アップルも協力するようFBIが裁判所に要請。アップルはプライバシーを侵害するとしてこれを拒否し、意見が対立していた。しかし、FBIは3月末に匿名の第三者の協力を得て、iPhoneのデータにアクセスすることに成功したことを明らかにした。

 Cellebriteは、iPhoneのロック解除でFBIに協力している“第三者”ではないかと複数の報道で名前が挙がっていたが、サン電子の広報は「特にコメントはない」と、肯定も否定もしなかった。また、今回のパートナー契約との関係については、「かなり前から話を進めていたもので、(ロック解除の)ニュースとは無関係」と否定した。

Cellebriteはもともと犯罪捜査向けの会社ではなかった

 Cellebriteは1999年に設立された企業。サン電子によると、同社の傘下になった2007年には、現在のような犯罪捜査用システムは手がけていなかったという。Cellebriteはもともと、携帯電話の買い替え時に電話帳のデータを新しい携帯電話に転送する機器を開発・販売しており、当時、通信事業も展開していたサン電子がシナジーがあると判断して買収。その後、データ転送技術を応用する形で、犯罪捜査用システムが生まれたそうだ。

Cellebriteの手がける事業(サン電子のウェブサイトより)
Cellebriteの手がける事業(サン電子のウェブサイトより)

 今回、Cellebriteとパートナー契約を結んだインターポールは、国際犯罪の防止を目的に、世界各国の警察で結成された世界最大の警察組織で、190の国と地域が加盟。日本では頭文字をとってICPOと呼ばれるが、海外では「インターポール」の名称が一般的だ。

 同機構は、2015年4月に新たなサイバー犯罪に関する研究開発やトレーニング、捜査支援活動をする施設「The INTERPOL Global Complex for Innovation」(IGCI)をシンガポールに設立。CellebriteはIGCIに、携帯電話データの抽出やデータ解析システム「UFED シリーズ」などで培ったノウハウを提供する。また、世界各国から集まる警察機関の捜査担当官に対するトレーニングの場で活用するという。

 「テロなどの国際犯罪も増えている中で、携帯電話やスマートフォンが犯罪捜査で重要な技術になってきている。そういった、携帯電話に関する科学捜査のトレーニングを全世界的にやっていく必要があるだろうということでインターポールと契約した。各捜査官の技術力を上げることで、捜査の早期解決や平和に貢献したい」(サン電子広報)。

「The INTERPOL Global Complex for Innovation」(IGCI)
「The INTERPOL Global Complex for Innovation」(IGCI)

 サン電子によれば、Cellebriteは米国の捜査官向けに技術講習プログラムなどを主に提供していたが、今回のようにトレーニングパートナー契約を結んだ事例は初だという。

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