銃乱射事件容疑者が所有していた「iPhone 5c」のロック解除に米連邦捜査局(FBI)が使用した方法は、それよりも新しい「iPhone」には適用できないようだ。
米国時間4月6日にオハイオ州にあるケニオンカレッジで講演したFBI長官のJames Comey氏は、Syed Farook容疑者が所有していたiPhone 5cのロックを解除するための新しいソフトウェアを開発することをAppleが拒否した後、FBIが外部の民間組織から「ツール」(詳細は未公表)を購入したことを認めた。CNN Moneyが7日に報じた。
Appleは、「iOS」の特殊目的のバージョンを作成すれば、その1台の端末にアクセスできるだけでなく、膨大な数のiPhoneのセキュリティが脅かされることになりかねないと主張していた。
しかし、FBIが入手する結果となったロック解除用ツールでは、状況が異なるようだ。同ツールは、iPhoneの「ごく一部」のみに適用できるものだとComey氏は述べたと、InfoWorldが報じている。
つまり、「iPhone 5s」や、「iPhone 6」全シリーズには適用できないということだ。
2015年12月にカリフォルニア州サンバーナーディーノで起きた銃乱射事件の容疑者の1人だったFarook容疑者が所有していたiPhone 5cのロックを解除しようとしたFBIの試みは、同局とAppleの間の大きな対立につながった。その法的な争いは、FBIがサードパーティーに端末のロック解除を依頼したことで収束した。Comey氏は、そのサードパーティーの名前を明かさなかったが、Cellebriteというイスラエル企業だとする報道もある。Cellebriteは、端末からのデータ抽出を専門としている。
しかし、大局的な問題は未解決のままだ。つまり、個人のプライバシーと国家安全の間の境界線と、データを暗号化して適切な権限を持つユーザーしか読めないようにすることのメリットである。
このサードパーティー企業が使用したロック解除方法が世の中に出回る可能性はないのか。Comey氏は、「その企業がそれを保護する能力に長けていると、高く信頼している」として、そのようなことはないと信じていると述べた。
米政府は、まだこの方法をAppleに明かしていない。Appleに明かすことで逆にかみつかれるのではないかと危惧している。
「Appleに伝えれば、Appleはそれを修正し、それで振り出しに戻る」とComey氏は述べたとCNN Moneyは報じている。「そうするかもしれないが、まだ決断していない」(Comey氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」