Mozillaは米国時間4月8日、「Project Tofino」と呼ばれるプロジェクトの詳細を明らかにした。これはMozillaの6名のスタッフが参加するプロジェクトで、ウェブブラウザを根本的に作り直す方法について研究するという。
「Firefox」プロジェクト担当のシニアバイスプレジデントを務めるMark Mayo氏は、Project Tofinoのブログに投稿した最初の記事で、「われわれがブラウザに求めるものは、PCにおいてもモバイルデバイスにおいても、『Firefox 1.0』の時代から大きく変わっている。何らかの斬新な取り組みがとっくの昔に行われているべきだった」と述べている。
Tofinoは、「Firefox」の中核技術である「Gecko」ではなく、Googleの「Chrome」ブラウザの基盤である「Chromium」をベースに構築されたデスクトップアプリケーション開発フレームワーク「Electron」を利用している。
Mozillaが今もFirefoxとGeckoを支援していることは間違いない。だが、Electronの方が作業を迅速に進められるとTofinoのチームが判断したという事実は、FirefoxがChromeの進化についていくことの難しさを示しており、Firefoxの将来に影を落とす出来事だ。
Mayo氏によると、Tofinoに対する社内の抵抗はかなり強かったという。
同氏は次のように述べている。「ここ1カ月の大きな抵抗によって、このプロジェクトは頓挫してもおかしくなかった。当然のことだが、Firefoxに害が及ぶという長年の恐れがあったため、このアイデアは芽を出すことさえできないところだった」
Mayo氏の発表に不快感を示した人物がいる。MozillaのエンジニアであるKyle Huey氏だ。Huey氏は、Mozillaの全従業員に宛てた電子メールで、Mayo氏はこのニュースを早まって流すという失態を犯したとして激しく非難している。Mozillaは「Positron」と呼ばれる別のプロジェクトでGeckoを採用しているため、TofinoプロジェクトはChromiumから離れることもできるが、Mayo氏の発表ではその点が明らかにされていない。
米CNETはHuey氏の電子メールを目にする機会を得たが、同氏はその中で、「この話をどのように伝えればFirefoxやGeckoに対する不信を示すものだと誤解されずにすむか、多くの人が長い時間をかけて考えていた。社内で生じる当然の懸念を無視しただけでなく、今回の発表前に多くの人がこの件に対処するために行った取り組みを無にする行為だと考えざるを得ない」と述べている。
ただし、Mayo氏はブログの記事を更新し、Tofinoは、中核技術ではなくブラウザのユーザーインターフェイスの実験を目的としたものだと説明している。
また、Mozillaは米CNETに宛てた声明で次のように語った。「われわれはオープンな場で活動しており、コミュニティに対して自分たちの意見を共有することを奨励している。そのため、残念ながら互いの意見が一致しないこともある。これがまぎれもなくMozillaのやり方であり、われわれがこのやり方をやめることはない」
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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