BlackBerry、Nokia、ソニー、そしてMicrosoftでさえ、レガシー製品の保護に腐心するあまり、次の大ブームを見逃してきた。だがAppleは、自らを破壊することを恐れなかった。2007年に発表されたiPhoneは、iPodの需要を奪った。同社はまた、Macの売り上げが侵食される可能性を承知の上で、iPadを投入した。
AT&Tの副会長で、iPhoneの発売に当たって自社に独占販売権を与えるようAppleと交渉していたRalph de la Vega氏は、次のように述べている。「(Appleは)もっと良い製品の可能性があれば、自社製品との競争もいとわない」
だが、Appleは今や、売り上げの3分の2以上をiPhoneに頼っている。40歳にもなれば、リスクを冒すことに二の足を踏むのかもしれない。
iPhoneのおかげで、Appleは他のどの企業よりも高い四半期利益を達成したが、そのペースは鈍っている。iPhoneの売り上げは、3月を期末とする四半期としては初めて落ち込む見込みで(Appleは4月に決算報告書を発表する)、通年でも減少するおそれがある。
「Appleが舞台としている市場は大きく変わり、成熟してきた。段階的な改良や、付加価値となる新機能があって、それから新しいカテゴリへと分岐していくようになった」。Jackdaw ResearchのアナリストJan Dawson氏はこのように述べる。
「マイナーアップグレード」。「iPhone SE」の評価はそんなところだろう。3月31日に店頭に並んだiPhone SEは4インチのデバイスで、3年前のモデル「iPhone 5s」とまったく同じように見えるが、中身は刷新されている。価格は399ドルからと、フラッグシップモデルである「iPhone 6s」より40%近く安い。
マイナーアップデートでも、iPhoneは順調に進むかもしれないが、ここからの40年も存続するために、Appleはその先を見すえなければならない。
Cook氏はいくつか新しい市場に進出しており、「Apple Watch」でウェアラブルに、「Apple Pay」でモバイル決済に参入した。どちらもそれなりの採用率で前進している。
おそらくAppleは、スマートホーム技術やヘルスケアといった新しい分野にも進出するだろう。また、自動運転車を作るにせよ、単にインフォテインメントと制御用のシステムを開発するにせよ、自動車は次の大きなチャンスだ。さらに、仮想現実や拡張現実について、Cook氏は「実にクールだ」と語っている。人工知能やロボットの分野に進出する可能性もあるし、他にも、われわれにはまだ想像すらできないような分野が無数にある。
しかし、Appleの共同創設者であり、熱心なAppleファンでもあるSteve Wozniak氏は、先日のReddit AMAで、いくぶんの懸念を表明していた。Wozniak氏は、Apple Watchは気に入っているが、各モデルの違いはバンドの差しかないと指摘している。
「これは設立当初のAppleの姿でもなければ、本当の意味で世界を大きく変えた企業でもない」とWozniak氏は記している。「なので、居場所を変えつつあるのかもしれないが、ご存じの通り進むべき道というものがある。市場がある道を進まなければならない」(Wozniak氏)
突き詰めていくと、Appleは「ハングリーであり続ける」必要があるという。Appleの初期のクリエイティブディレクターの1人で、Macを立ち上げたチームのメンバーだったClement Mok氏はこのように述べた。「コアにあるヒッピー的な価値観にこだわり、現状を打破しようとする限り、Appleは長らえるだろう」(Mok氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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