米連邦捜査局(FBI)は地方の法執行機関に対し、法によって認められる場合、米国内の刑事事件において「iPhone」のロックを解除する技術的支援を提供すると伝えた。
FBIは地方の法執行機関にあてた書簡の中で、容疑者が「闇に消える」(going dark)問題を理解していると述べた。「闇に消える」というのは、メッセージの読み込みや通信の傍受ができないことを表現するのにFBIが繰り返し使ってきた暗喩だ。
BuzzFeedが入手し、その後ほかの報道機関と共有された書簡には、こう書かれている。「当局の長年にわたる方針として、FBIは当然、協力機関に役立つ可能性があるあらゆるツールを検討していく。法律と方針による当局の制約に従って、われわれは引き続きできる限りの支援を行うことを知っておいてほしい」
この書簡が送られたのは、米政府がAppleに対する訴訟を正式に取り下げてからわずか数日後のことだ。Appleはソフトウェアの改変を拒否し、最高経営責任者(CEO)のTim Cook氏はこの改変について、最近のすべてのiPhoneと「iPad」に「間違いなくバックドアを設けることになる」としていた。
米政府は、カリフォルニア州サンバーナーディーノで起きた銃乱射事件の容疑者の1人が利用したiPhoneに組み込まれているセキュリティ機能に関して、これを迂回できる「外部の第三者」を見つけた。この第三者については、イスラエルのセキュリティ会社Cellebriteと考えられている(公式には確認されていない)。
数日後、FBIは新たに見つかった解決策を利用して、アーカンソー州の検事に対してiPhoneのロック解除を支援することで合意した。
FBIはこれまで、ロック解除の方法がどのようなものか、また、セキュリティ上の脆弱性開示に責任を負う方針の一環としてその方法をAppleに伝えるかどうかについて、発表していない。
この動き(および地方の法執行機関に送られたその後の書簡)により、暗号化された他のデバイスにもFBIがこのロック解除方法を利用するのでは、という広く流布していた憶測に終止符が打たれた。こうした動きは、FBI長官のJames Comey氏が2月にLawfareの論説記事で述べたことに反するようだ。Comey長官は記事の中で、Appleに対する訴訟は1台のiPhoneだけに関するものであることを示唆していた。
「サンバーナーディーノ事件をめぐる訴訟は、前例を作ったり何らかのメッセージを送ったりしようと試みるものではない」(Comey氏)
FBIにコメントを求めたが、記事掲載までに回答はなかった。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」