パナソニックは3月31日、2016年度の事業方針説明会を開催した。売上高で2018年度に10兆円企業を目指すとしていた当初目標を取りやめ、営業利益で5000億円、当期純利益で2500億円以上という新たなグループ経営目標を掲げた。
パナソニックでは、2015年度を「持続的な成長」のステージと位置付け、エアコン、ライティング、ハウジングシステム、インフォテインメントシステム、二次電池、パナホームの6つの事業部が牽引することで、2018年度の売上高10兆円企業を目指していた。しかし、2015年度の業績見通しは、売上高で7兆5500億円(当初目標は8兆円)、営業利益で4100億円(同4300億円)と大幅な下方修正を発表。厳しい環境となった。
代表取締役社長である津賀一宏氏は「大規模6事業部の牽引にはつながらず売上目標を下回る厳しい結果となった。販売増により増益を牽引する目論見だったが、増収による増益の構図は作れなかった」と2015年度を振り返った。
下方修正の主な要因は中国市況の悪化とICT需要の低迷。「取り巻く環境への対応力に課題があった。しかし売上が伸びなくても増益を確保できる、経営体質は着実に強化している」と分析する。
現在、家電、住宅、車載は「新たな成長を創る」、B2Bソリューションは「高収益を実現」、デバイスは「専業に勝つ」と5つに分け方向性を示している事業領域は、家電、住宅、車載、B2Bと4つの分類。事業の方向性に応じた利益成長を目指すとし、家電、住宅、車載は営業利益率5%以上、営業利益3000億円以上、B2Bは営業利益率10%以上、営業利益3000億円を指標に据える。
高成長事業、安定成長事業、収益改善事業に分類し、高成長事業には家電、住宅、車載、B2B を割当、リソースを集中すると発表。1兆円の戦略投資を継続することも明らかにした。
2018年度に10兆円企業を目指す目標を見直したことについて津賀氏は「10兆円企業を目指す目標は、すべての事業、すべての従業員で成長を考えていこうという強いメッセージだった。成長領域への取り組み、成長を加速させるには明確な目標と期限が必要になる。当時はこの目標を達成できる可能性もゼロではない状況にあった。しかし、2015年度の通期業績の下方修正などを受け、事業の特性を見ると必ずしも売上を追うことが適切ではないことが見えてきた。今さらと言われるかもしれないが、改めべきものは改める。今回設定した営業利益5000億円、当期純利益2500億円以上は、成長戦略を続けながら適切なターゲットだと思っている」とコメントした。
パナソニックでは、2016年度のグループ経営目標を売上高で対前年比1%減の7兆5000億円、営業利益は対前年比350億円減の3750億円と据える。これは先行投資を実行するためとしており、成長への足場固めをする時期とした。
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