JVCケンウッド・ビクターエンタテインメントは3月17日、レコーディングスタジオでの使用を前提としたプロ用ヘッドホン「HA-MX100-Z」(MX100)を発表した。ハイレゾ音源再生にも対応する。同日からハイレゾ音源配信サイト「VICTOR STUDIO HD-Music.」で販売している。税別価格は2万2963円。
MX100は、ビクタースタジオがプロデュースし、JVCケンウッドが設計、開発を手がけたスタジオモニタヘッドホン。音楽制作現場で求められる原音再生能力と高い耐久性を両立したプロ仕様のモデルだ。
両社は2011年にもスタジオモニタヘッドホン「HA-MX10-B」を商品化している。MX10が共同開発だったのに対し、MX100は完全なビクタースタジオプロデュースモデルになる。ビクタースタジオ長の秋元秀之氏は「MX100はビクタースタジオ初の製品プロデュース。ビクタースタジオサポートなので、ブレることはない音質面、スタジオユースの特殊環境にも耐えうる使い勝手、そして2万円台という金額でこのパフォーマンスを実現した価格面の3つの絶対条件をクリアした自信を持っておすすめできる商品」とコメントした。
スタジオ仕様の高音質を実現するために、JVCケンウッドでは新たなドライバユニットを採用。従来モデルの「モニタードライバーユニット」に、日本製高純度CCAWボイスコイルと熱処理した低歪磁気回路を搭載することで、ハイレゾ音源においても高い再現性を実現したとのこと。加えて、独自の「サウンド・ディフューザー」の中心孔径を最適化することで、高域の再生周波数を拡大し、解像感と音場の広がりが得られるようになったという。
中高域の再現力を向上させたため、聴感上で得られにくくなってしまった低域は、「デュアル・クリアバスポート構造」を搭載することで、再生力を強化。これは振動板の前室側と後室側の両方の背圧を最適化し、振動板を忠実に動かすことで、低域の再生力を向上させるというもの。ハイレゾ音源の再生にも効果的だという。
このような音は、ビクタースタジオが音質評価や要望をJVCケンウッドに伝え、改善した試作品を戻す形で生み出されたもの。このサイクルを繰り返しながら、作り上げていったという。
2万円台前半という価格にもこだわりがある。秋元氏は「ビクタースタジオ全体で80〜100個のヘッドホンを使っており、スタジオユースの選択肢として金額も重要なポイント。MX100は従来機MX10 の金型をそのまま使うことでコストダウンを実現している。加えてモニタヘッドホンとしてのポテンシャルも非常に高く、これをベースにすることに疑問は全くなかった」と開発背景を話した。
発表会では、レコーディングスタジオで使用されているモニタスピーカとの聴き比べや、ダイナミック、コンデンサー、リボン、チューブと4種類のマイクによる音の違いをデモ。マイクによる音の違いがわかることはモニタヘッドホンの第一条件になっているという。
MX100は、スタジオモニタヘッドホンとしながらも一般ユーザーへの販売にも踏み切る。「MX100で音楽を聴くことで、スタジオクオリティの音が届けられるようになる。スタジオの音はミュージシャンたちが求めている音。それをユーザーに共有できるのは素晴らしいことだと思う。このヘッドホンを通して音楽制作現場とユーザーの架け橋になっていきたい」(秋元氏)とした。
VICTOR STUDIO HD-Music.での販売が主力になるが、今後はMX10を販売していた楽器店やプロ録音機材の取扱店などにも徐々に販路を増やしていく。
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