車の音楽環境が劇的に変わる--グレースノートが示すカーオーディオのその先

 グレースノートは3月14日、自動車内で音楽を聴く際、楽曲に応じたイコライザーを自動に調整する新技術「Dynamic EQ」とラジオから流れてくる音楽にタイトルやジャケットなどの曲情報を付与する「MusicID-Radio」の2つの新技術を発表しした。いずれもグレースノートが持つ2億曲もの曲情報を基に実現している。

 グレースノートは、CD認識技術によるCDデータベース作成で知られるメタデータ企業。CDをプレーヤーに読み込ませるだけで、アルバム名、アーティスト名、楽曲名が取得できるMusicID技術が有名だ。2014年に米国の新聞「シカゴ・トリビューン」などを手掛ける「Tribune Media Service」と合併した。

 Dynamic EQは、楽曲に応じて、最適なイコライザーを自動でかけられる車載オーディオ用の新技術。1曲ごとに中域や高域、低域などの再生音を自動で調整し、曲に合わせた”最良な音”で聴けることが特徴だ。例えば、クラブ系の音楽には強めの低域、女性ボーカルであれば伸びやかな中高域といった具合に、曲に応じて自動調整ができる。


楽曲ごとの特長を詳細に把握する「Dynamic EQ」(左)と車側の設定(右)によって、車内での音楽再生環境を変える

 この技術を実現するため、グレースノートでは楽曲ごとに「EQプロファイル」情報を付与。約2億曲の楽曲データベースを、曲の属性に応じて8万個のクラスタに分け、そのクラスタ内の代表的な曲に基準となる「レファレンス EQ」を付与する。各楽曲には「オリジナル EQ」を付け、レファレンス EQの差を比較して、曲単位のEQプロファイルが完成する。

  • 楽曲を曲調、年代、ジャンルなどから8万個のクラスタに分類

  • 分類したクラスタを象徴する基準となる曲に「レファレンス EQ」を付与する

  • 曲ごとにつけられた「オリジナルEQ」とレファレンスEQ」を比べ、その差分を曲単位の「EQプロファイル」として付与する

 インターネット接続した車載オーディオであれば、楽曲認識技術である「MusicID」をグレースノートのサーバに送り、そのデータから楽曲タイトルやアーティストなどのメタデータとEQプロファイルを付与することで、Dynamic EQが実現する。インターネット接続されていない車載機器でもローカルに同様のデータベースを持つことでDynamicEQの利用は可能だという。

 Dynamic EQは、1月に米国で開催された「CES」で開発発表がされ、カーテクノロジーのトップ10の内の1つとして取り上げられるなど話題を呼んだ。グレースノートでは、現在自動車メーカーや車載オーディオメーカーから問い合わせを受けている段階とのことだ。

  • インターネット接続した車載オーディオであれば、楽曲認識技術である「MusicID」をグレースノートのサーバに送り、そのデータから楽曲タイトルやアーティストなどのメタデータとEQプロファイルを付与する

  • 「Dynamic EQ」を付与する前のオリジナルサウンドステージ

  • 「Dynamic EQ」を付与した状態のサウンドステージ。クリーム色の部分が追加されている

 MusicID-Radioは、ラジオから流れる楽曲情報を車載端末に表示できるという技術。すでに2015年に発売された「BMW 7 Series」に採用されている。

 取得できるのはラジオ局名とそのロゴ、アーティスト、アルバム、楽曲タイトル、カバーアートなど。楽曲の持つ波形データを認識することで取得ができ、デモ時の取得時間は2~3秒。取得した情報をもとに、音楽配信サービスへリンクしてのリスニングなども可能だという。

 グレースノートでは、MusicID-Radioを使って、ラジオ局の自動選局も実現しており、ドライブ中に好みの音楽が流れるラジオ局を自動選局することもできる。


MusicID-Radioのイメージ

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