グレースノートは、音楽レコメンデーションプラットフォーム「Gracenote Rhythm」の提供を開始すると発表した。それにあわせ、2月18日に「The State of Music Discovery ~Music Discoveryから考える音楽マーケットとテクノロジーの未来~」と題したイベントを実施した。
Gracenote Rhythmは、楽曲メタデータを活用して楽曲のジャンル、ムード、活躍年代、テンポ、アーティストの活躍地域、アーティストのタイプの6つからカテゴライズ。カテゴリごとに似た楽曲を集めることで、ユーザーに向けた楽曲のレコメンデーションができるというもの。
例えばエリック・クラプトンの楽曲であれば、ブルース・ロックジャンルに該当するため、アーティストを問わずブルース・ロックの楽曲のみを再生したり、1970年代の楽曲であれば、当時の楽曲のみを抽出して流すことができる。ユーザーによる「Like/Dislike」でパーソナライズしていくことも可能だ。
グレースノートでは、Gracenote RhythmのAPIをデベロッパー向けに公開。インターネットラジオサービスなどを手がける企業が使用すれば、これらの楽曲レコメンデーションサービスが利用できるようになる。
このほかアーティスト、曲、履歴を元にした「レコメンデーション」や音楽プレイヤー内の保存楽曲を対象にした「プレイリスト」作成、APIを利用せず、単体でメタデータと音楽属性データを提供する「データ・エキスポート」といった特徴を持つ。日本でのサービス開始は未定だが、米国ではデータ・エキスポート機能を「Spotify」「iTunes Radio」「Beats Music」がすでに採用しているという。
イベントではGracenoteの共同創業者・CTOのTy Roberts(タイ・ロバーツ)氏が米国における現在の音楽マーケットのトレンドについて基調講演を行なった。それによると、ストリーミング市場が前年比から倍増しており、一方のダウンロード市場は減少に転じているとのこと。ユーザーは楽曲を購入しなくなっているという。
ロバーツ氏は「ダウンロードはなくならないが、市場は40%程度にまで下がると予想されている。一方ストリーミングは今後5年間で約6倍に増えるだろう」と市場について話した。またストリーミング市場においては、広告でサポートされる形が広がってきていること、サービスを手がける企業が10数社まで増えているなど、現状を説明した。
ロバーツ氏はこうした現状を「非常に良い傾向だと思っている。サービスを提供する企業がマーケティング活動をすることで、新しいアイデアをユーザーに提供できる」と評した。
今後のストリーミングサービスについては「コーヒーショップとストリーミングサービスの企業がコラボレーションするなど、ブランド提携型のサービスも可能になってきた。コーヒーショップであればコーヒーを楽しめるような、スノボードメーカーであればスノーボード的な音楽サービスになり、顧客に特化した音楽を提供できる」など、音楽ジャンルのカテゴライズを推進。また「今のユーザーは忙しく、また楽曲データが膨大なため、自分から好きな楽曲を探している時間はない。音楽のレコメンドは自動的にプッシュでやってくる時代になる」とレコメンデーションの大切さを話した。
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