スマートフォンネイティブが見ている世界

中高生がネットで小遣い稼ぎする危険性--画像流出も - (page 2)

犯罪につながる危険性も

 「写真・動画の投稿で再生・閲覧」については、犯罪につながる危険もある。販売・投稿した具体的な物品については調べていないが、本やCDなどのほか、性的な写真なども含まれると見られているのだ。

 2015年に、写真や動画が共有できるアプリ「写真袋」で事件が起きたことをご存じだろうか。写真袋は、投稿者が設定した「合い言葉」で写真や動画を閲覧・ダウンロードできるが、一定期間後は閲覧・ダウンロードが有料となる仕組みを取っている。これを悪用し、18歳未満の少女の裸写真などの児童ポルノ画像を投稿した上で、一定期間後にTwitterや掲示板などに書き込んだ男らが逮捕されたのだ。男らは、ダウンロードごとに商品券に換金できるポイントを得ていた。逮捕された中には、愛知県の19歳の専門学校生の男などもいた。

 警視庁少年育成課が調べたところ、投稿の3~4割が児童ポルノという状態で、一部では同アプリが児童ポルノの温床となっていることは周知の事実となっていた。Appleの規約としては、通報機能を備え、不適切な写真はユーザーが通報して削除できるようにしていればよいとされる。しかし、この場合は需要と供給が合致しており、児童ポルノが蔓延していても誰も通報しなかったというわけだ。

 運営会社「AIRCAST(エアーキャスト)」の社長などは、この事実を知りながら放置して児童ポルノの閲覧を幇助していたとして、同年11月に逮捕された。同社は2013年12月から2015年6月までに1億4900万円を稼いでいたという。事件後、同アプリはApp Storeから削除されているが、このようなアプリを使ってお金を稼いでいた10代も少なくなかったようだ。写真袋が使えなくなったため、ユーザーたちは「写真缶」という写真・動画を共有できるアプリなどに移行したが、こちらもやはり削除されている。

お金と引き替えに大切なものを交換しない

 一般的に10代の子どもたちは、個人情報や時間、法律などを軽視する傾向にある。可処分所得が低い彼らは、お金のためにそのようなものを簡単に引き替えにしてしまう。

 しかし、お金に換えられるということは、本当は彼らが引き替えにしているものの価値はとても高い。個人情報などを安易にお金と引き替えにしないよう、保護者は見守る必要がある。

 同時に、彼らが安易に犯罪に手を染めないよう、モラルやリテラシーも身に付けさせる必要があるだろう。お金を得るために自分の性的な写真などを投稿してしまうと、ネット上に出回ってしまい2度と削除できなくなることも、必ず教える必要があるだろう。

高橋暁子

ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業等のコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育について詳しい。
元小学校教員。
『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(共に日本実業出版社)他著書多数。
近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)。

ブログ:http://akiakatsuki.hatenablog.com/

Twitter:@akiakatsuki

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