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不動産業界を変える鍵は「オープン化と法整備」--リブセンスが指摘する日本の課題 - (page 2)

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不動産とITの融合は、オープンデータと法改正が鍵

 この一方で、不動産営業を担当する社員にとっても、集客のための活動や顧客らへの情報提供で、業務の30%以上の時間を費やしているという現実があるという。また、日本全国の不動産物件情報を集約した「REINS」と呼ばれるシステムが稼働しており、不動産業を営む各社で情報共有できる仕組みになっているものの、いまだに各社それぞれで独自に抱えている物件情報が存在している状況だとした。

 このような状況の改善に向け、新たな不動産情報サービスとしてYahoo!不動産、ソニー不動産などが登場してきている。同氏は今後、ビッグデータや人工知能、データマイニングのようなテクノロジによって、不動産価格の査定が人力作業から自動化へ進むと予測し、その先進事例として米国での具体的な事例を挙げた。

リブセンス IESHILユニット ユニットリーダーである芳賀一生氏
リブセンス IESHILユニット ユニットリーダーである芳賀一生氏

 代表的な不動産売買・情報サイトとして、同氏は「Zillow」というウェブサービスを紹介した。Zillowでは、不動産に関わる膨大な情報を不動産売買、賃貸物件、ローン、掲示板、家具のECショッピングというように、分かりやすくカテゴリ分類したうえで、地図上に実際の物件情報をマッピング。過去の価格推移や、将来的にその物件の価格が上がりそうなのか、または下がりそうなのかもチェックできるようになっている。

 その物件を担当している営業マン1人1人を利用者が評価する仕組みも設けられ、物件の近くにある学校の評価や口コミ、周辺で発生した犯罪の履歴までもが閲覧可能。利用者は物件そのものだけでなく周辺環境も考慮しながら購入判断ができるというわけだ。芳賀氏は「本来は住環境のメリット、デメリットも含めて不動産価格が決められるべき」と述べるとともに、日本のように「周辺環境の情報が少ない状況で、購入判断が迫られる現状は不健全ではないか」と問題提起した。

 その他にも、海外ではREAL ESTATE TECH分野に進出するスタートアップ企業が増えてきているとし、販売中の家の前で画面タップすると不動産エージェントをその場に呼び出せて内見可能な「CurbCall」、ビルに入っている飲食店などのテナントの売り上げを確認できるビルオーナー・不動産投資家向けの「VTS」などを紹介した。

 なぜ、このようなサービスが日本では増えないのか。芳賀氏はその原因として、「オープンデータや民間企業データを含めた、一元的な情報流通基盤が未整備であること」と「法規制の問題」の2点を挙げた。

 「昨今はREINSにステータス管理が導入され、売り主は自分の物件がどんな販売状況なのかを確認する手段は整備された。しかし、我々のような不動産メディアサービスが、REINSデータの一部でも利活用することは禁じられている」(芳賀氏)と話す。また、両手取引のうち片側の3%が、なぜ3%に決まっているのかについても、長く続く不動産業界の商慣習を続けているだけで明確な根拠がないとした。

米国でのREAL ESTATE TECH実現の仕組み
米国でのREAL ESTATE TECH実現の仕組み

 ところが、REAL ESTATE TECH分野が活性化している米国では、あらゆる物件情報を必ずすべてデータ化したうえで、そのデータを共有・連携可能なMLS(Multiple Listing Services)を提供しており、多くの企業がMLSを利用して自社サービスに磨きをかけていける状況になっているという。

 芳賀氏は、「オープン化と法整備が日本の不動産業界を変える鍵になる」と述べ、不動産業界とIT業界が互いの強みを出し合える環境づくりがこれから重要になるだろうと語った。

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