同日のデモデイで登壇した、KDDI ∞ Laboのラボ長であるKDDI バリュー事業本部 新規ビジネス推進本部 戦略推進部長の江幡智広氏は、2011年の開始から5年目となり、第9期を合わせると45チームの卒業生を輩出してきたと説明。特に第9期は、学生チームや留学生チーム、京都発のチーム、au未来研究所のハッカソンの場で結成されたチームなど、多種多様なチームによって構成されている点が特徴だとした。
また、KDDI代表取締役執行役員専務 バリュー事業本部長である髙橋誠氏が、卒業生の現状を紹介。同社では、既存企業とスタートアップのビジネスマッチングなども実施しており、開始から1年で100件近いコラボ案を生み出しているという。たとえば、第4期の卒業生で、中高生向けのプログラミング・ITキャンプを開催している「Life is Tech !」は、近畿ツーリストと提携し、企業研修や修学旅行向けにIT教育プログラムを提供している。
同日には卒業生を代表して、第4期のRidiloverや、第5期のBearTail、葵などが登壇し、現状を説明した。Ridiloverでは、社会問題を伝えるメディア「TRAPRO(トラプロ)」などを運営し、社会問題の現場に旅をするツアーなども実施。すでに2桁以上の企業研修や修学旅行などで採用されているという。今後は、移住を検討している人向けの口コミサービスも提供する。
領収書を撮るだけでオペレーターが正確に手入力してくれる家計簿サービス「BearTail」は、現在120万ユーザーを超えるという。特定の商品のレシートを撮ると、ポイントで還元されるキャンペーンを実施したところ、2週間で2万人が店頭で購買する事例も作れたという。今後は、結婚や出産など、ユーザーのライフステージに合わせて、お金に関するパーソナルアドバイスをしていきたいとしている。
中高生向けのオンライン学習塾「アオイゼミ」を運営する葵は、KDDI ∞ Laboに参加し、サービスのスマートフォン対応とSNSの新規開発を実施したことで、ユーザー数が増加。現在は20万人が登録しており、このうちの8割がスマートフォン、1割がタブレットからアクセスしているという。99%と高い志望校合格率を誇っており、今後も講師の採用を進めながら、教育の経済・地域格差をなくしていきたいとしている。
同日は髙橋氏から、2月22日より参加チームを募集する第10期の方針も語られた。第10期では、サービスを立ち上げる「インキュベーションプログラム」から、事業成長の加速を支援する「アクセラレータプログラム」へと運営方針を変更するという。
その理由について髙橋氏は、産学官がさまざまな形でスタートアップ支援を進めている一方で、日本は米国に比べてM&AよりもIPOを選ぶスタートアップが圧倒的に多いと指摘。同社がアクセラレータプログラムを手がけることで、「もう一段階、成長できるようにしていきたい」という。
これにあわせて募集チームの基準も変更する。これまでは、応募サービスを外部公表前の新たなアイデアを持ったチームに限定して採択していたが、第10期からは採択条件を拡大し、すでにサービスやプロダクトを公表済みの企業・チームを含め幅広く募集するという。
さらに、スタートアップを支援する大企業によって構成される「パートナー連合プログラム」に、Supership、日本マイクロソフト、JAL、フジテレビなどが新たに参画することも発表。KDDIを含む31社が持つアセットやノウハウを、スタートアップに提供するとしている。
今回で第10期という節目を迎えるKDDI ∞ Laboだが、髙橋氏は「社会にインパクトのある新たな価値を創造したい。これからも20期、30期と継続していきたい」と意気込みを語った。
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