「Eye Net Surfer」は、視線を使って画面の上下スクロールを行うウェブブラウザだ。iPhoneのインカメラを使って両目の位置をアプリに認識させることにより、下を向くと下にスクロール、上を向くと上へスクロールといった具合に、首の動きだけでスクロール操作が可能になる。これにより、手をまったく使うことなく、縦に長いページを快適に閲覧できるようになる。
利用にあたっては、アプリを起動したのち、画面下部にある目のマークをタップする。しばらくiPhoneを顔の正面に向けた状態にしておくと、両目の位置が認識され、URLバーが赤から緑に変わる。なるべく顔に照明が当たっているほうが両目の位置は認識しやすく、逆に影になっている場合や部屋全体が暗い場合、また眼鏡をかけている場合などは、認識がうまくいかないことが多いようだ。
両目の位置が認識されると、下を向くと画面が下に、上を向くと画面が上へとスクロールできるようになる。スクロールの速度は首を傾ける角度によって変わるので、ゆっくりスクロールしたい場合は少しだけ下を向き、すばやくページの最上部まで戻りたい場合は大きく上を向くとよい。オプションで目の反応速度とスクロールの速さを調整できるので、必要に応じて設定を変えてやるとよい。
実際に使ってみた限りでは、首を上下に向けて画面をスクロールさせるよりも、首は固定したままiPhoneを上下に倒したほうが、思い通りに操作しやすい。つまり下にスクロールしたければiPhoneを上に傾け、上にスクロールしたければiPhoneを下に傾けるといった具合に、iPhoneの側を動かしてやるというわけだ。スクロールを一時的に止めたい場合は、両目の再認識が必要になるが、目のマークをタップして認識を解除してやるとよい。
URLおよびキーワードでサイトを検索する機能は備えるが、ブックマーク機能がなく、かわりにPocketとの連携機能を搭載するなど、長文の記事を「あとで読む」ためのツールとして開発された節があり、普段使いのブラウザとするには少々機能面で物足りない。上下スクロールを多用するサイトをまとめてPocket内でリンクとして表示できるようにしておき、ブックマークの代用とする方法はあるが、一般的なブラウザとしての機能強化も望みたい。
ともあれ、視線でスクロールできるブラウザアプリは、過去に一部のスマホに搭載されたことはあるものの、汎用的なアプリとしてはほとんど例がない。ここ3年ほどアプリの更新がないのが気がかりだが、独自性および将来性ともに有望で、工夫次第で活用の範囲は無限大なだけに、リンク先に遷移する機能の実装など、さらなる進化に期待したいところだ。
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