「Tor」ネットワークを運営するThe Tor Projectが、同ネットワークの拡大を期待する支援者から20万ドルを超える資金を調達することに成功した。
非営利のThe Tor Projectはブログ記事で、同団体初のクラウドファンディングキャンペーンの結果、この数カ月間で5265人の支援者から総額20万5000ドルを超える寄付を集めたことを明らかにしている。
Tor Projectは「The Onion Router」としても知られる「Tor」システムを運用している非営利団体だ。このシステムにより、ユーザーは一般的な検索エンジンでインデックス化されていないインターネット上の領域を利用することができる。またユーザーの元のIPを結び付けずに通信を複数のノードを経由させる構成で匿名性を高め、監視活動を阻止している。
強固で安定したネットワークを維持するために、Torは2015年11月からキャンペーンの周知と寄付を人々に呼びかけていた。
この資金調達では、監視活動やプライバシーに関する教育プロジェクトへの投資も目的に掲げられていた。
また透明性を考慮して、The Tor Projectは州政府と連邦政府に提出した2014年度の納税申告書を最近になって公開している。
それによると、2014年度は250万ドルと手堅い売り上げを確保したようだ。
「Torの予算は、関わっている人の数と、与えている影響の大きさを考えると控え目なものだ」とTorは述べている。「また、われわれの敵が世界をより危険で自由のない場所にするために費やしている予算に比べれば、少ないものだ」
The Tor Projectは現在、フルタイムとパートタイムを合わせて、約20名の契約従業員とスタッフで構成されている。そのほか数千人のボランティアが、ネットワークの安定運用とTorのセキュリティ向上に取り組んでいる。米連邦捜査局(FBI)などの法執行機関が、Torユーザーの身元を特定するために100万ドルを大学に支払ったと報じられている現状を考えれば、このような取り組みはTorを維持するために欠かせないものだ。
資金源を多様化するための試験的取り組みとして調達された今回の資金は、新しいプライバシーツールの開発、ヘルプデスクのサポート、既存サービスの安定性と安全性の向上に使われる予定だ。
Torは2014年、電子フロンティア財団(EFF)が実施したTor参加促進キャンペーンのおかげで新たに1635のリレーノードを確保しており、ボランティアの数は合計で7000人ほどに達している。
The Tor Projectは、ブログ記事で次のように述べている。
世界中のTorコミュニティが、考えつく限りの方法でTorの独立性を支援するために立ち上がってくれた。独立性は力となる。それは人権を守る活動に従事する人たちの権利を保護する力だ。
われわれすべてのプライバシーを守る力だ。
われわれはプライバシー擁護団体ではあるが、今回、Torの支援者がどのような人物であるか突きとめることができた。それは、プライバシーを守るという自分たちの権利を支持するために行動を起こす人物だ。
現在、Torの出資者には、Reddit、北米のインターネットサービスプロバイダ(匿名)、米国立科学財団(NSF)などが名を連ねている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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