集中を分散させてしまう要因が、現代には数多く存在する。多すぎる情報やうるさすぎる環境など、意識して集中しやすい状態にならないと、集中することはなかなかに難しい。集中していると、難しいことが理解でき、物事を正しく処理できる。しかしながら、集中していないように見える「ぼーっとしている状態」でも、必ずしもそれが悪いとは限らない。「集中している」あるいは「注意している」とは、どういうことか。
本書では、「注意」と「集中」という言葉が、時には同義で扱われているが、何にも注意をそらされないで、注意を向けるべきことに注意し続けている状態を「集中している」と解釈できる。つまり「注意力が散漫」な状態は、「集中していない」ことになる。集中力や注意力がなくて困るということはあっても、集中あるいは注意しすぎるから困るということは、あまりなさそうに思える。しかし実際には注意しなくてもいいことに、注意が向きすぎてしまって困っている人の事例が、本書には登場する。
本書は、読めばすぐに集中力が高まるといった類のハウツー本ではないが、注意と集中にまつわる多くのエピソードと、膨大な過去の実験や論文に基づく考察から得られるヒントは多い。今後のために集中力を鍛えたいという人は、まず本書を集中して読むのが最初の試練になるだろう。
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