林田氏:私の知る限り、みなさん喜んでいただいています。自分たちの曲がゲームで遊べるといったことだけではなく、SHOW BY ROCK!!で知った方がライブに足を運び、CDを買ってくださる方もすごく多いです。彼らのメインはアーティスト活動ですけれども、それだけでは出会えなかったであろうファンが多く、ファンが広がったと実感されているようです。
菊地氏:ちゃんとアーティストさんの楽曲を好きになったお客さんが多いというのは、特徴のひとつですね。
林田氏:リズムゲームだと耳にする回数はCDなどに比べ段違いに多いですから、気に入る度合いが早く、耳に強く残るのだと思います。
町田氏:ライブを見に行っているという声を聞くと、SHOW BY ROCK!!のひとつの目的である、参加したアーティストさんにメリットをお返しすることができた証なので、こちらとしてもすごくうれしいですね。SHOW BY ROCK!!のファンの方からしたら、アーティストさんのライブ活動もイベントのひとつと感じられているかもしれません。たとえイコールではなくても、キャラクターや世界観に触れている感覚があって、相乗効果を感じます。
林田氏:ゲームをやってライブ会場に来て、そこでCDを買うというのはなかなかない動きだと思ってます。「ゲームを遊ぶ」と「ライブ会場に行く」という間にあるハードルはすごく高いと感じていて。そもそもライブ会場に足を運ぶ事自体、普段行かない方にとってはものすごく敷居が高いことですから。
町田氏:SHOW BY ROCK!!のイベントとして、タイアップアーティストさんのみを集めたライブも2回行いましたけど、ライブハウスに初めて来た方が半数ぐらいいたんです。それも衝撃的でした。なかなかライブに足が向かない方でも、SHOW BY ROCK!!のテーマの下に初めてのライブ経験をしてくれました。
ソーシャルゲームは飽きるとすぐに止めてしまいがちですが、世界観とシンクロしたリアルな体験は、離れづらくなる要因のひとつになっているのかなとも思います。音楽がテーマであればライブイベントを実施するというのは展開として想定していましたけど、ほかのコンテンツにはない演出が提供できていると思います。
インディーズバンドのライブだと、結構尻込みをして後ろのほうで腕を組みながら見ている人も少なくないんです。でもみなさんが前のめりで盛り上がってくれたことにも感動しましたね。
林田氏:1回目のイベントのとき、SHOW BY ROCK!!で知ったファンが多く集まるとは予想していましたが、ライブが始まったときの反応が読めなかったんです。それだけに、ライブが始まった瞬間に手を挙げて盛り上がっているのを見たときは、驚きましたね。普段のライブは、音楽ライブに慣れている方がほとんどなんです。そうじゃない初めてライブに来た方が集まった時の反応が気になっていましたが、その光景を見て本当に感動しました。
町田氏:応募も多くて抽選の状態になってますが、SHOW BY ROCK!!に触れた方は一度来てほしいですね。タイアップアーティストのライブから、アーティストごとの個別ライブのチケットを買って足を運ぶファンもいるようなので、こんなにうれしいことはないと思ってくださっています。
林田氏:音楽業界において、ライブ市場が盛り上がっているとよく言われています。複数のアーティストが集うフェスがたくさんあり、そこから個々のライブに行くという流れがあります。ただフェスもライブも初めての方には敷居が高いですし、音楽ライブを好きな人だけが足を運ぶ状態だと思うんです。
SHOW BY ROCK!!のライブイベントによって、今までライブに行かなかった層が音楽ファンになってライブに足を運ぶ。SHOW BY ROCK!!が音楽ファンを増やしているということは、とてもすごいことだなと思います。これをきっかけにバンドのライブに行ったり、ツアーを追いかけて地方まで行かれる方もいらっしゃいますから。こんなに日本の音楽業界に貢献しているアプリはないと思います(笑)。
町田氏:それは菊地さんからの最初の企画書に入っていたものです。ユーザーさんにとっては気になった楽曲を手に取りやすくなりますし、アーティストへの直接的なメリットにもなります。さらなる創作意欲もわいてくるでしょう。
菊地氏:ただ、初期の頃はまだまだユーザーさんも少なかったので、その送客効果が見えていなかったのですが、ゲームがリニューアルしてユーザーが増えてからは、効果が出るようになりました。そのリニューアルが成功していなければ、SHOW BY ROCK!!の展開に付随する話も立ち消えていたかと思います。
菊地氏:初期バージョンは少し迷走していたところがあったんです。当時のスマホゲームは、カジュアルゲームのようなライトなものが受け入れられていたのです。キャラクターもかわいさがあるものでしたから、リズムゲームでもライトに楽しめるようにと1ラインにして、すごくシンプルにしていました。それはそれで入りやすかった側面もありましたが、面白さを考えるとどうなんだろうと。それでもっと面白さを出したほうがいいと思っていましたし、周囲の方からもそう思われていたので、早い段階でリニューアルを決めました。
リニューアルにあたって、わかりやすいところではリズムゲームを3ラインにして遊びごたえのある形にしました。ただリズムゲームは面白くて当たり前のところで、キャラクターをもっと際立たせて見せてあげないといけないと思ったんです。リニューアル前は擬人化したビジュアルを見せる場所もなかったので、それを見せられる場としてブロマイドのシステムを導入し、それを持ってファンが応援をするという世界観にしました。
町田氏:当時菊地さんは「もっとキャラゲーにしましょう」としきりに言ってました。サンリオという看板もあるので、キャラクターを押し出していくほうが受け入れやすいだろうと。
菊地氏:ゲームはあくまでツールでしかありません。そのコンテンツをいかに魅力的に見せてあげられるか、いかに楽しんでもらえるかのツールですから。今でも便宜上リズムゲームや音ゲーと表記しているところもありますが、僕らとしては「キャラクターゲーム」と答えています。キャラクターを魅力的に見せるためのゲームのシステム、いい楽曲があるという形です。
町田氏:リニューアルについては、本当は新規アプリとしてリリースしたほうが新規ユーザーを取り込むことができますけれども、リニューアル前にもユーザーさんが遊んでくれていましたし、その方々は大切なお客様ですからちゃんと残すべきだと。なので新アプリではなくリニューアルで、と菊地さんにお願いをしました。
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