岡本博之氏と共同代表のSirintra Leenutaphong氏は、オンラインストアの開設を簡素化するサービス「HIPSTORES」を2015年1月に立ち上げた。
岡本氏がこのビジネスをバンコクで始めたのは、以前ベトナムで起業した頃に東南アジア諸国を訪問し、バンコクのものづくり文化に出会ったことがきっかけ。もともとクリエイティブ産業に興味があった岡本氏は「バンコクのクリエイターを後押しするビジネスができないか」と考え、HIPSTORESを設立した。
同氏は「小規模の個人経営者、もしくは週末限定で自分のお店を出していたり、一念発起してブランドを立ち上げ、モノづくりをしているような層をターゲットにしていきたい」と話す。その背景には、タイならではのあるEコマース市場の動向がある。
タイではオンラインストアを持たずにInstagramなどのSNSを利用して個人が商品を販売しているケースが非常に多い。こうした層は統計データにこそ出ていないものの市場としては相当大きいと、同氏は考えている。
また、ASEAN地域10カ国内で「ASEAN経済共同体」(AEC)が発足することで、域内のモノの流通が活発になる。そうなれば、他国の製品に比べデザイン性や質が高いタイ製品への需要は間違いなく大きくなるとも語った。
他にも、100以上ものエントリーがあった同イベントでのピッチ「Startup Launchpad Arena」でトップ10に選出されたIoT分野の日本人起業家の姿もあった。近距離無線(NFC)対応のIoTガジェット「SmartPlate」は、NFCやBluetoothを活用したO2Oサービスを提供するアクアビットスパイラルズによって2015年2月に立ち上げられた新規事業。
SmartPlateはNFC(Near Field Communicationの略。近距離無線機)を使ったモノとオンラインコンテンツをつなげる「モノのブックマーク」。例えば、商品の展示会などで、ビジターが興味を持った商品に対してより詳細を知りたい、購入したいと思った際に、SmartPlateにスマホをかざせば、検索することなくすぐに商品のレビューや購入ページを開けるといった使い方ができる。日本でも2月からカードタイプのものがアマゾンですでに売り出されていた。
グーグルが調査したデータによると、商品を購入する際に人びとが事前に調べる割合は81%だという。その一方で、店内で調べる割合は30%と格段に低い。こういった層にもウェブの有益な情報を提供できないか、そこに目をつけたのが製品開発のきっかけだった。
「ショールームなどの展示スペースを実店舗へと変えることができます。つまり、商品にこのSmartPlateだけ貼っておけば、レジもいらないし、余剰在庫のリスクも軽減できる。また、リアルな場で見せないと売れない商品に関してもこれさえあればすぐに購入に結びつけることができます」
ソーシャルリクルーティングの分野では、日本から「Wantedly」の姿も。現在同社は東南アジアにおける事業拡大に力を入れているそうだ。
「現在もっとも力を入れているのは、Facebookユーザー数が多いインドネシア。ですが、他の東南アジア諸国もまだまだユーザー数が伸びる余地があると考えています。今後はタイも含めた東南アジアの国々に展開を進めていきます」(Lisa氏)
同社が注力するインドネシアは、Facebook利用率が世界4位、約7000万人のユーザーが利用している。東南アジアにおけるSNSの普及率は総じて高い。
競合には同じくグローバル規模でサービスを展開するLinkedInがいるが、WantedlyはさまざまなSNSプラットフォームを活用したカジュアルな採用を進めることで、差別化を図っていくという。
(編集協力:岡徳之)
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