同施設が設置されるワンノース地区は、シンガポール政府が2001年より高付加産業の拠点化を進めている開発エリア。約200ヘクタールの場所に、バイオポリス(バイオメディカルサイエンス研究開発)、フュージョノポリス(情報通信、メディア、科学・エンジニアリング)、メディアポリス(デジタルメディアなど)の3つの目的別研究施設があり、周辺にある大学やビジネススクールなどとも提携し、産学共同の研究開発が活発だ。
現在までに、クリエイターズ・スペースの施設の内容や開講されるプログラムの詳細は明らかになっていない。しかし、政府が「世界水準のコンテンツを制作するデジタル・メディアの中心地」として開発を進めるエリア内に設置されることを考えると、同施設が同国のクリエイターのハブになることが期待される。
シンガポールのクリエイティブ業界、なかでも映像業界の盛り上がりについては、本連載でもアジアの短編映画配信サービス「Viddsee」の記事で取り上げた。このViddseeやYoutube、Vimeoなどのプラットフォームで自主制作の作品を配信する若者が増えており、映画館やアートギャラリーなどではさまざまな映画祭が開催されている。同国でモノづくりや自己表現に対する関心が高まっていることが伺える。
一方で、同国では個人の映像クリエイターや小規模の制作会社にとって、撮影スタジオの使用料や、人件費などのコスト負担が大きく、質の高いコンテンツを継続して制作することが難しいという課題もある。官民共同で開発を進めるクリエーターズ・スペースは、こうした地元クリエイターの課題を解決し、シンガポールを金融や貿易だけでなく、クリエイティブの分野でもアジアのハブに押し上げようとしている。
(編集協力:岡徳之)
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