超小型衛星の開発/製造/運用を手がけるアクセルスペースは12月10日、地球の周回軌道上に50機の人工衛星を投入し、地球の広い範囲を毎日観測できる画像データプラットフォーム「AxelGlobe」を構築すると発表した。この衛星群から得られる画像データを蓄積し、農業、森林保護、天然資源開発、インフラモニタリングなどの分野で活用してもらい、収益を上げる考え。
構築予定のAxelGlobeは、50機の超小型衛星「GRUS(グルース)」を運用し、地球上の全陸地の45%が対象となる観測網。この範囲が観測できれば、人間が経済活動をするほぼ全ての領域をカバーできるという。しかも、毎日撮影することが可能なため、「欲しい画像が必ず存在する」情報プラットフォームであり、地球観測インフラだと説明した。
アクセルスペースは、「毎日撮影して画像データを蓄積し、過去から現在にわたるデータを分析することで、未来予測に繋げることを目指す」と説明。日々の小さな変化が分かることでトレンドが浮かび上がり、未来を予測できるとした。また、リクエスト受付、運用、解析、デリバリーを自動化することで、低コストの広域/定常モニタリングを実現する。
GRUSは、英語で星座の“つる座”を意味する単語。鶴の群れのように複数機が協調しつつ軌道上を周回するイメージから名付けたそうだ。質量は80kg、大きさは60×60×80cm。地上分解能は、自動車を1台単位で見分けられるほどの2.5m。高コストなうえ米国のベンチャーが多く取り組んでレッドオーシャン状態にある分解能1mの衛星と、「LandSat」「Sentinel」などの無料画像と競争になり利益確保が難しく用途も限られる分解能5mの衛星との、あいだを狙った。撮影幅は57kmある。
GRUS衛星群で取得したデータは、APIでアクセスできるようにして、さまざまな事業者に独自アプリケーションを開発してもらえる体制を整える。iPhone/iOSを中心とするエコシステムが機能しているように、アクセルスペースは衛星を中心とするエコシステムを持つ宇宙ビジネス界のAppleと言われる存在になりたいとした。
AxelGlobeのターゲットは、衛星画像の販売でなく、より規模の大きい、蓄積した衛星画像を利用するアプリケーション市場。例えば、以下のような用途が考えられる。
アクセルスペース代表取締役の中村友哉氏は、宇宙から見たら何か解決できるのではないかという視点でアイデアを出してほしい、と話す。質疑応答の際、軍事利用の打診があったら受注するかと質問したところ、軍用だから断ることはない、との回答を得た。
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