映像コンテンツメーカーと映像機器メーカーで構成される業界団体DEGジャパンが12月8日、「映像コンテンツ デジタル配信セミナー2015」を開催した。その中で、バンダイビジュアル、20世紀フォックス、東映の映画会社による、映像配信時代の戦略についてパネルディスカッションが行われた。
パネルディスカッションに登場したのは、東映コンテンツ事業部長代理企画開発室長の吉村文雄氏、20世紀フォックス ホームエンターテイメント Head of Digital Sales,Japanの吉川広太郎氏、バンダイビジュアル執行役員事業本部営業部部長の小西貴明氏の3名。モデレーターはジャーナリストの西田宗千佳氏が務めた。
DVDやBDといったパッケージがビジネスの主体だが、映像配信向けのコンテンツも伸びている現状。3社は、コンテンツホルダーとして現在の市場をどう捉え、どんな戦略を立てているのだろうか。
東映では、劇場公開の時期から約6カ月後にDVD、BDによるセルとレンタルをスタート。TVOD(一定期間のみ視聴できる単品販売)、EST(ずっと視聴できる単品販売)といった映像配信サービスも同時に開始するという。「DVDなどのパッケージとTVODなどの映像配信を同時にスタートさせたのは2015年春頃からで、取り組みとしては浅い。しかし10月に『ドラゴンボールZ 復活の「F」』をパッケージと同時配信したところ、3カ月後に配信をスタートした前作に比べ、TVODの売上がほぼ倍になった」と同時配信の効果を話す。
一方、DVD、BDのセル、レンタルよりもTVOD、ESTでの提供を優先しているのが20世紀フォックスだ。パッケージの提供時期は劇場公開から約4カ月後。しかしTVODとESTによる配信は、パッケージ発売に約4週間先行して実施する。「パッケージよりも早く映像配信に作品を提供するのが戦略。またレンタル価格もパッケージの400円にそろえることで、ユーザーに映像配信を強く訴求している」(吉川氏)という。
バンダイビジュアルでは、上記2社とも異なる劇場公開と同時に、パッケージ発売、TVODでの配信を実施する。これは公開期間が約2週間、公開劇場数が10~15館程度の「イベント上映」と呼ばれる作品で取り入れている手法で、小西氏は「この時期に投入するコンテンツはいずれも、特典映像などがついた高付加価値、高価格なものになる」と言う。
通常版に関しては約30週後にパッケージでの提供を開始し、DVDレンタル、通常価格のTVODなどもこの時期にスタート。シリーズモノであれば、第2作、3作の劇場公開に合わせる形で通常版の提供を開始することで、次作へつなげる役割も果たす。
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