CEOのRitesh Agarwal氏は、当時18歳だった2012年に大学を中退。「Airbnb」と同じコンセプトのバケーションレンタルサービス「Oravel」を開発して起業した。Oravelを運営するためにインドの100軒以上の格安ホテルに宿泊したRitesh氏は、解決すべき問題はホテルの検索性ではなく、体験の質に大きなバラつきがあることだと気がついた。
ちょうどそのころ、Ritesh氏はインド生まれ、インド育ちのインド人として初めて「ティールフェローシップ」に参加した。ティールフェローシップとは、Paypal創業者のピーター・ティール氏が、世界の20歳以下の学生のなかから20人を選抜し、それぞれに10万ドルの資金を提供。またティール氏の人脈による起業のアドバイスを2年間受けられるプログラムである。
参加する学生は大学を退学してプロジェクトに集中しなければならないというハードルが高いものだったが、Ritesh氏はこの時すでに大学を中退していた。10万ドルの資金を元手にOravelから、いまのOyo Roomsへとピボットしたのだ。
その後、事業を急拡大させていく。2014年5月に、米国を本拠地とし、中国、イスラエル、インドでも投資実績のあるLightspeed Venturesから65万ドル、2015年3月にはLightspeed VenturesとSequoia Capitalなどから2500万ドルを調達。そして、2015年8月にはソフトバンクから1億ドルの投資を受けることになった。当時21歳だったCEOがこれだけ高額の資金を調達したというニュースはインド中を駆け巡り、Ritesh氏は瞬く間に若手起業家のヒーローとなった。
Oyo Roomsの競合サービスは少なくない。代表格はインド最大のEコマースサイト「Flipkart」にも投資したTiger Globalなどから総額4700万ドルを調達した「Zo Rooms」。このほか、Makemytrip、Yatra、Goibiboといった大手旅行サイトも格安ホテル市場への参入を始めている。タタ・グループ傘下で世界11カ国に展開し、部屋数の多い高級ホテルチェーン「タージ・ホテルズ」も競合視されている。タージ・ホテルズは現在約9000室を扱っているが、Oyo Roomsは約1万4000室と大きく上回っている。
Oyo Roomsは、先述の通りPCとアプリでサービスを提供しているが、今回はアプリで試してみた。起動すると、現在地周辺のホテルとおすすめの旅行先が表示される。Googleマップとも連動しており便利だ。
バンガロールのコラマンガラ地域のホテルを探してみる。チェックイン・チェックアウトの日程を入力すると、予約可能なホテルがきれいな写真とともに表示される。ホテルを選択すると、その設備や人数ごとの価格を確認できる。
ホテルを決定すると決済画面へと遷移する。決済手段は、ホテルでの現金支払い、クレジットカード、デビットカード、オンラインバンキング、オンラインウォレットサービスから選べる。ホテルでの現金支払いが可能なのは、クレジットカードの普及率が低いインドならではだ。
決済を完了させると予約情報が表示される。このときインド版Uberとも言われる「Ola cabs」でタクシーを呼ぶこともできる。「3タップでホテルが予約できる」というのがOyo Roomsの謳い文句だが、実際に簡単にできた。一軒一軒ホテルの設備を調べたり、レビューを読む必要がないのも助かる。
近年インドでも、米国発のサービスのコピーがすぐに生まれるといったことがよく起きている。そんな中で、Oyo Roomsはオリジナリティの高いサービスである。2016年末までに250都市10万軒以上のホテルの提供を目指す。さらにRitesh氏は、ソフトバンクの後ろ盾もあることからアジア展開にも強い興味を示しているようだ。FacebookやUberと並ぶようなサービスを目指している。
(編集協力:岡徳之)
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