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「インターネットはすべて正しい」--危険な10代の情報リテラシー - (page 2)

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「クチコミは正しいから自分の感覚が間違っているはず」

 高校2年女子A花は、買い物の前には必ずインターネットで検索して、クチコミを調べてから買うという。「少ないお小遣いで失敗したくないから」というのが理由だが、インターネットへの信頼っぷりは半端ではない。

 たとえば家族で食事に行く時は、クチコミのレビューで点数が少しでも高いところを選ぶ。「みんなが美味しい、満足したと言っているんだから一番確実」。レビューが良くても好みではないこともあるが、「まだ高校生だから私が良さを分からないだけのはず。レビューの方が正しい」と言い切る。自分の感覚ではなく、ネット内の評判の方を信じるというわけだ。「点数は高くなくても、自分が気に入ればいいのでは」と言ったところ、分かっていないという顔をされてしまった。

 A花は、その他にも漫画、映画などもレビューを見て買うかどうか、見るかどうかを決めるそうだ。「漫画や映画こそ好みや感覚の違いで、評価が分かれるのでは?」と言ったところ、「好みでなくても、みんながいいと言っているんだからいい」と答えていた。

 A花の考え方は極端だが、「失敗したくない」「他人の意見が気になる」という感覚は10代では非常に多く見られる傾向だ。インターネットがない時代は、他人の意見は先生や保護者、友人くらいからしか聞くことができなかった。ところが、インターネットが普及した現在、“多くの人はどう思うか”ということまで聞くことができる。

 Q&Aサイトは質問と答えがあるものだが、たとえばYOMIURI ONLINEの「発言小町」は、正解のないことに、感覚的な「ありかなしか」を聞いていることが多いようだ。自分の感覚だけでは不安で、他人の意見を聞いてやっと安心できる人が多いように見受けられる。

インターネットでは見つからないこともある

 インターネットで検索したり、質問したりすれば、一定の回答が得られることは間違いない。しかし、インターネットでは答えが見つからないことも多い。たとえば、自分の決断だ。人生において進路を決めたり、選択を下さねばならない瞬間は何度も訪れる。インターネットを使えば他人に参考意見を聞くこともできるが、実際に決められるのは自分しかいない。

 さらに、回答が1つではないこと、意見が割れることについても、インターネットは回答を与えてはくれないだろう。ネットを介して得られた情報を参考に、自分の頭で考えて意見を決める必要があるのだ。

 インターネットは便利であり、使い方によっては大いに役立つものだ。しかし、インターネットだけでは生きることはできない。本当に大切なのは、自分で考えて選択、行動できる人間になることだ。

 もしインターネットに過剰に頼っている子どもがいたら、インターネットには必ずしも答えがあるわけではないこと、世の中には答えがないこともたくさんあるのだということを教えてあげてほしいと思う。


高橋暁子

ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業等のコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育について詳しい。
元小学校教員。
『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(共に日本実業出版社)他著書多数。
近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)。

ブログ:http://akiakatsuki.hatenablog.com/

Twitter:@akiakatsuki

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