マイクロソフト、視覚障害者向けヘッドセットを刷新--英慈善団体と共同開発

Asha Barbaschow (Special to CNET News) 翻訳校正: 編集部2015年11月30日 11時59分

 Microsoftが英国の慈善団体Guide Dogsと協力し、同社が提供する視覚障害者向け支援技術をアップデートした。新たにスマートヘッドセットとアプリをリリースし、音を使って視覚障害者が周囲を移動しやすくすることを目指す。

 この技術を使った最初のプロトタイプは2014年に公開されており、連続する音を出して装着者を正しい方向に導く仕組みになっていた。Microsoftによると、同技術の第2段階では設計も刷新されたと同社は述べている。

 Microsoftは、Guide Dogsとの協力により、視覚障害を抱える人々が自立し、外に出ても自信を持てるようにするため、同技術の潜在的な可能性を追求できるようになるとしている。

 Microsoftが当初この技術の開発に思い至った背景には、同社従業員Amos Miller氏の存在があった。自身も視覚障害を抱えるMiller氏は、娘の誕生をきっかけに、子どもと一緒に外出することができ、1人で新しい場所を探索するときに常に感じていたであろう恐怖心や不安を感じなくて済む人生にしたいと思うようになった。

 最初のフェーズのデバイスは、建物や電車の車両などの物体に取り付けられたセンサから、装着者のヘッドバンドに搭載されたレシーバに情報が返されることによって端末が作動した。

 Microsoftによると、同技術がアップデートされたのは、トライアルに参加した人たちが視覚に代わって音を頼りにしていることが分かったからだという。

 「灯台が光で先導するように、この技術は音を用いてガイドする。この技術デモンストレーションは音でイメージを作り出す」とMicrosoftは述べる。「あなたの周りに合成音(言葉や音の両方を)を空間的に配置することで、人間が理解可能な3D音の風景を作り出している」(Microsoft)

 装着者は新しい「Orientate」および「Look Ahead」機能を使用することで、自分の身の周りに何があるのかを瞬時に察知することができるほか、近づいてくるものが何かを詳しく知ることができる。それらに関する情報は、装着者からの距離が近いものから順に音で通知される。

 同ソフトウェアに加えられた新しい2つの操作により、ユーザーは音声または物理的なリモコンを使って周囲のランドマークについて尋ねたり、それらに関する詳細情報を聞いたりすることができる。この機能は、アプリ内のナビゲーションと並行して動作する。同アプリは、音声による方向指示を使って装着者を目的地やその周辺に案内するもので、頭の中でイメージを浮かべるのに役立つ。

 Microsoftはさらに、「CityScribe」と呼ばれる組み込みアプリケーションも開発した。CityScribeは、街中にある障害物にタブ付けできるようになっている。多くのマッピングサービスは、公園のベンチや突き出た縁石のほか、ごみ箱、電柱などの公共設置物をタグ付けの対象外としている。

 この技術は、英国政府が支援するFuture Cities Catapultセンターの取り組みの一環としてMicrosoftが取り組んでいる「Cities Unlocked」プロジェクトの1つとして誕生した。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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