いくつかありますが、コンテンツをお客さまにどう見せていくかを今一度考え直しました。各コンテンツは同じものが2つとない、それぞれオリジナルの特徴を持っています。それを「棚」としてどう示していくかを作り直したイメージです。
レンタルビデオや書店など、リアルの店舗では、ショップスタッフの方のおすすめ、話題作やそれに付随する商品を集めたコーナー展開がされています。日本人がエンターテインメントに触れる方法として、店頭におけるおすすめは相当以上の価値があります。今回そのコーナー作りをデジタルの世界でどう提案するかにチャレンジしました。
具体的には、社内の専属チームと社外の専任キュレーターが特集枠を作っています。専任キュレーターは、映画雑誌の編集や映像の仕事に携わってきたいわゆるプロの人たちにお願いしており、社内外のスタッフでチームを作りました。
特集枠を作る際はそのすべての作品を実際に見た人が担当することで、SF、ドラマといった大枠のジャンルから、作品のテーマ、みどころ、キャスティングの特徴、どんな人におすすめできるかまで把握する 精度の高い特集を作っています。かなり地道で細やかな作業ですが、丁寧にまとめあげることで独自の特集枠をつくることができたと思っています。
制作年、国、出演者、受賞履歴、作品テーマなどの事実情報を基にしたタグ付けはテキスト解析の技術を幅広く活用しています。ただ単純なテクノロジだけだとミスマッチが起こります。例えば「愛」といっても愛知県の愛、人名の愛、テーマの愛など異なる。その部分をアルゴリズムと人のチェックを組み合わせることによって、精度をあげています。
さらに、それぞれの特集枠自体が、アルゴリズムによってユーザーごとにパーソナライズされた形で提供されて行きます。言わば、リアルな店舗におけるコーナー棚がユーザーごとに無限の組み合わせで存在しているイメージです。
現在リニューアルしてから1カ月半程度ですが、今までなかなか視聴数が上がらなかった作品が上位に出てくるなど、動きがでてきました。従来は新着やランキングが作品選択の1つの指標でしたが、それだけでは、ユーザーに届きづらかった作品をきちんと届ける仕組みができたと思っています。
映画で言えば、メジャーな作品以外にも単館上映だった作品や日本では上映に至らなかった作品なども取りそろえています。こうした作品はランキングからだけでは、たどりつきにくいですから。
もう一つは、レンタルビデオ店に行った時のような書店にでかけたときのような「発見感」を提供できたことですね。リアル店舗内を歩いていると「あ、こんな作品が」という発見がありますよね。ユーザーにそうした“刺さる”作品を紹介して見ていただきたい。こうした体験を繰り返すことで、満足度も上がっていくのではないかと思います。
月額利用料については、いろいろなご意見があると思っています。U-NEXTは月額1990円で、そのうち約半分にあたる1000円分のポイントが毎月バックされる仕組みです。ですから990円分が見放題、加えて1000円分のレンタル作品を見られる融合サービスという位置づけです。
これによって新作映画やディズニーアニメーションなど、月額見放題のサービスには出にくい作品までカバーしています。また、映画やドラマ、アニメだけではなく、釣りや麻雀など趣味嗜好が強いコンテンツ、キッズなどターゲットが絞りこまれているカテゴリも取りそろえています。そうしたカテゴリの広さを提供できることが、U-NEXTの最大の魅力だと思っています。
趣味嗜好の強いコンテンツは万人受けはしませんが、非常にニーズの高いカテゴリです。コンテンツに偏り、色を付けず、ひとつずつ丁寧に扱っていくことがU-NEXTのポリシーです。
どちらも今後積極的に対応して行く予定です。4K HDRが現時点で想定されている中での最高品位になると思いますが、ユーザーの通信状況等によって2K HDRでの配信となっても、目が覚めるような次世代映像体験を提供できると思っています。
同様にオリジナルコンテンツについても検討していて、放送とは違った価値のコンテンツを提供していきたい。放送では時間、話数、フォーマットなど一定の制限がありますが、映像配信の良さはフォーマットフリーで制作できることです。制作の現場とともにもっといい作品を生み出していきたいですね。
配信プラットフォームを他社のパートナーに提供するビジネスについては、ビジネス戦略として非常に重視しています。
このビジネスのメリットは顧客接点の拡大で、パートナー経由でいらっしゃるユーザー数もかなり拡大してきました。今後も、積極的かつ柔軟に進めていきたいと考えています。
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